2024年度の診療報酬改定や薬価制度改革は、薬局や薬剤師の働き方に大きな影響を与える内容でした。
そんな調剤報酬改定で「調剤報酬改定でで利益が減ってしまった」という薬局もあれば「薬局の売上が上昇した」という薬局も存在します。
この記事では、薬価制度と調剤報酬改定のポイントと、薬局現場への具体的な影響や今後の対応について、わかりやすく解説します。
1. なぜ薬価や診療報酬が見直されるのか?

薬価制度とは?
薬価とは、保険で使える薬の公定価格のこと。国は薬ごとに価格を決めており、薬局や病院はこの価格をもとに薬を提供します。薬価制度は、国の医療費をコントロールするために非常に重要な仕組みです。
薬価は定期的に見直されており、特に売上が大きく下がった薬や、後発医薬品(ジェネリック)が出た薬は、価格が引き下げられやすくなります。
診療報酬改定とは?
診療報酬とは、医療機関や薬局が医療サービスを提供したときに、保険から支払われる金額のこと。2年に1回、国によって見直されており、「どんな業務が評価されるのか」が変わっていきます。
2024年度の改定では、「患者に向き合う対人業務」がこれまで以上に重視される傾向が強まりました。
2. 今回の改定で注目すべきポイント

薬価のさらなる引き下げ
薬価(やっか)とは?
薬価とは、国が定めた「保険で使える薬の価格」のことです。病院や薬局では、この価格に基づいて薬を仕入れ・販売しています。薬は自由に価格を決められるわけではなく、誰でも同じ価格で提供されるように国が管理しています。
なぜ薬価が下がるの?
薬価は定期的に見直されます。実際に市場で取引されている価格(=実勢価格)と比べて差があると、「国が決めている価格が高すぎる」と判断されて引き下げられることがあります。
また、新しい薬が発売されてから時間が経ち、後発医薬品(ジェネリック)が登場した場合も、薬価が引き下げられる傾向があります。
2024年度のポイント:
- 「実勢価格」と薬価の差が大きい薬については、個別に再計算(再算定)され、さらに薬価が下がるケースがあります。
- 政府は引き続き、後発医薬品(ジェネリック)の利用を促進しています。患者さんにも、医療費を抑えるというメリットがあります。
調剤基本料・加算の見直し
調剤基本料ってなに?
薬局が処方せんを受け付けて、薬を調剤するたびに国から支払われる「基本料金」のことです。この料金には、薬の準備・確認・説明などが含まれています。
加算とは?
加算は、基本業務にプラスして「特別な取り組みや工夫」をしている薬局に対して、追加で支払われる報酬です。たとえば、在宅訪問や服薬指導の充実、地域連携などが該当します。
2024年度のポイント:
- 大型チェーン薬局にとって不利な条件が強化されました。たとえば、処方せんの集中率が高すぎる(特定の病院ばかりから処方せんが来る)場合、調剤基本料が低く設定されることがあります。
- 一方で、地域密着型の中小薬局には、有利な加算条件が整備されました。患者さんに寄り添った対応をしている薬局が評価されやすくなっています。
- 在宅医療やオンライン服薬指導など、新しい形のサービスにも報酬がつくようになり、これらに取り組む薬局は加算を得やすくなっています。
ICT活用が評価される流れ
ICTとは?
ICTとは「情報通信技術(Information and Communication Technology)」のこと。医療現場では、電子化やデジタルツールの活用を指します。
なぜICTが重要なの?
国は、医療の質を向上させつつ、業務効率化や医療費の適正化を目指しています。そのため、薬局にもデジタルツールを使った「効率的で質の高い対応」が求められています。
2024年度のポイント:
- 電子処方箋の導入支援が強化されています。電子処方箋とは、紙ではなくデータで処方せんをやり取りする仕組みで、ミスの防止や情報の一元管理に役立ちます。国は導入を進める薬局を支援し、点数(報酬)でも評価しています。
- オンライン服薬指導が評価対象になっています。患者さんが自宅にいながら、スマホやパソコンを通じて薬剤師の説明を受ける仕組みで、これにも点数がつくようになりました。
- 服薬後のフォローアップや情報提供も、薬局の重要な役割として報酬化が進んでいます。たとえば、「薬の効果や副作用について、あとから電話やアプリで確認する」といった対応も加算の対象になります。
3. 現場での影響はどうなる?

利益率が下がる薬局も
調剤報酬改定への対策を行っていない薬局は、大きく収益率が下がることも考えられます。調剤報酬改定の傾向を見ると、ただお薬を渡すだけの薬局を減らして、患者さんのためにサービスを提供できる薬局を増やす目的があると考えられます。
対人業務に力を入れた薬局はプラスに働くことも
服薬指導や患者フォローなどの「対人業務」に積極的な薬局は、新たな加算を取得しやすくなっています。例えば、在宅訪問やオンライン服薬指導を取り入れた薬局では、安定した収益確保に成功している例もあります。
ICTや地域連携が鍵に
電子処方箋やお薬手帳アプリ、地域包括ケアとの連携など、ICTを活用することで、新たな業務評価や患者サービスの充実が期待できます。
4. 薬局が今後取るべき対応とは?

① 情報収集と制度理解
まずは、診療報酬改定や薬価制度改革の内容を正しく把握することが第一歩です。日本薬剤師会や厚労省の資料を定期的にチェックしましょう。
② 対人業務へのシフト
薬を「渡す」だけでなく、「患者に寄り添う」対応が評価される時代です。服薬指導、フォローアップ、在宅訪問など、対人業務の質と量を強化しましょう。
③ ICTやDXの活用
電子処方箋や電子お薬手帳、クラウド在庫管理など、デジタルツールを積極的に導入することで、業務の効率化と加算の獲得が両立できます。
④ スタッフ教育とチーム体制の強化
新たな業務に対応するには、薬剤師や事務スタッフのスキルアップも欠かせません。研修や業務分担の見直しも含めて、体制を整えましょう。
制度改定は「ピンチ」ではなく「チャンス」

薬価や診療報酬の改定は、一見すると「収益悪化」や「厳しい時代」と捉えられがちです。
しかし、その本質は「薬局が患者にとってより価値ある存在になること」を促す改革です。
制度を正しく理解し、時代に合った薬局経営へとシフトできれば、むしろ大きなチャンスにもなります。
これからの薬局には、柔軟な対応力と戦略的な視点が求められています。
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