ドーピングと市販薬の確認ポイント|薬剤師が押さえる2026年禁止表・Global DRO・TUE

薬剤師が解説
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更新日:2026年10月11日/本記事には広告が含まれます。

「大会前に、この鼻炎薬を使っても大丈夫ですか?」。薬局でこの相談を受けたとき、商品名だけで即答するのは難しいものです。ドーピングに関する確認では、成分・投与経路・用量・使用時期・競技種目をそろえて判断する必要があります。

この記事では、2026年の禁止表国際基準と日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の情報をもとに、薬剤師が確認する順番を整理します。具体的な製品の使用可否は、使用する時点の公式情報で確認してください。

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ドーピングは「競技力を上げるために薬を使うこと」だけではない

アンチ・ドーピング規則違反には、検体中の禁止物質の存在や禁止物質・禁止方法の使用のほか、検査の拒否、検査手続きの妨害なども含まれます。「治療目的だから問題ない」とは限りません。選手を支える医療者も、禁止物質の使用を助長しないよう規則を理解する必要があります。[1]

2026年中は2026年の禁止表で確認する

禁止表は毎年改定されます。2027年の禁止表も公開されていますが、2026年12月31日までは2026年の禁止表が適用されます。翌年の大会で使う薬は、翌年の基準でも確認しましょう。[2]

禁止の区分には、競技会外も含めて「常に禁止」、競技会(時)のみ禁止、特定の競技で禁止、という違いがあります。競技会(時)は原則として大会前日の23時59分から、競技会と関連する検体採取手続きの終了までです。競技によって例外があります。[2]

市販薬・処方薬は成分名と使い方を確認する

市販薬か処方薬かという区分だけでは判断できません。同じブランドでも、剤形や製品によって配合成分が違うため、現物の箱・添付文書・処方内容を確認します。

確認したい薬・成分 薬剤師が押さえる点
かぜ薬・鼻炎薬・鎮咳薬の一部 プソイドエフェドリン、エフェドリン、メチルエフェドリンなどを確認。競技会(時)の尿中濃度に基準があります。
糖質コルチコイド 競技会(時)の注射・経口・経直腸使用は禁止。吸入や鼻腔内などは、承認された用量・治療適応内での使用では禁止されません。
β2作用薬 成分・投与経路・用量で扱いが異なります。「喘息の吸入薬だから全部使用できる」とまとめないことが大切です。
漢方薬・生薬製剤 配合生薬も確認します。Global DROで検索できない天然由来成分があり、検索結果だけで判断しません。

上表は確認の入口です。使用可否の一覧ではありません。[2–4]

尿中濃度の基準を服用量に置き換えない

プソイドエフェドリンは尿中濃度150µg/mL超、エフェドリンとメチルエフェドリンは各10µg/mL超で競技会(時)に禁止されます。これは「この量まで飲める」という服用量の基準ではありません。排出には個人差があるため、薬の半減期だけで「何日前にやめれば確実」と断言しないようにします。[2、3]

鼻症状の治療薬を整理したい場合は、点鼻薬の種類と使い分けも参考になります。この記事は治療上の特徴を扱うため、ドーピング上の使用可否は別途確認してください。

Global DROを使うときは「検索した条件」まで記録する

Global DROは、医薬品の商品名や成分名から禁止状況を確認できる検索システムです。競技や購入国など、実際の使用条件に合わせて検索します。[3、5]

薬局での確認漏れを減らすため、次の順番で対応することを提案します。

  1. 競技・大会・日程を聞く:「何の競技で、いつの大会に参加しますか?」
  2. 使うものをそろえる:処方薬、市販薬、漢方薬、サプリメント、最近受けた注射や点滴も確認します。
  3. 製品と使い方を特定する:商品名、成分、剤形、購入国、1回量・回数、投与経路、使用日を確認します。
  4. 公式情報を照合する:Global DROの結果と注意書きを読み、必要に応じて当年の禁止表も確認します。
  5. 結果と次の対応を共有する:確認日、検索条件、結果、情報源、説明内容を薬歴などに残します。

検索結果が出ない場合は「禁止されていない」と結論づけず、製品を特定できているかを再確認します。判断がつかなければ、公認スポーツファーマシストなどへ照会し、回答を得てから説明します。[3、4]

例えば相談時には、「箱の写真か現物を見せてもらえますか。大会日程と使う量も一緒に確認します」と声をかけると、必要な情報を集めやすくなります。

検索はこちら:Global DRO(日本版)

サプリメントは「成分表示を調べたから安全」と言い切れない

サプリメントには、表示されていない禁止物質が含まれるリスクがあります。JADAは、まず食事からの栄養摂取を重視し、使用目的や必要性を検討するよう案内しています。表示されていない成分が原因の場合でも、選手自身の責任が問われ得ます。[6]

薬剤師の対応では、医薬品の成分確認とサプリメントのリスク説明を分けることが大切です。第三者検査や認証の情報は判断材料になりますが、「認証マークがあるので絶対に大丈夫」という説明は避けましょう。使用を検討する場合は、対象製品・対象ロット・検査範囲も含めて情報を確認します。

「なぜ必要なのか」「食事で対応できるか」「不確かな情報が残っていないか」を整理し、必要に応じて医師やスポーツ栄養の専門家とも連携します。Global DROによる医薬品の検索を、サプリメント全体の安全性の保証として扱わないようにしてください。

治療に禁止物質が必要ならTUEを確認する

TUE(治療使用特例)は、病気やけがの治療に禁止物質・禁止方法が必要な場合に、条件を満たすと特例として使用が認められる制度です。医師の処方があることや申請したことだけでは、承認されたことにはなりません。[3]

申請先・申請時期は選手のカテゴリーで異なる

国際レベル、国内レベルなどのアスリート・カテゴリーによって、申請先やタイミングが異なります。選手のカテゴリーと大会を確認し、医師・所属競技団体と連携して手続きを進めます。薬剤師は、薬の成分や代替薬の情報を整理し、医師に共有する役割を担えます。[3、7]

救急治療を遅らせず、記録を残す

緊急治療などでは、条件を満たせば使用後の遡及的TUE申請が認められる場合があります。ただし、必ず認められるわけではありません。救急時は必要な治療を優先し、診療記録、使用薬、投与経路・用量・日時などを残して、速やかに関係機関へ確認します。処方薬の中止や変更は、処方医と相談して進めましょう。[3]

薬剤師がスポーツに関わる第一歩

公認スポーツファーマシストは、アンチ・ドーピング規則などの所定の課程を修了して認定される資格です。資格に関心がある場合は、公式サイトで認定制度や講習の案内を確認できます。[8]

まずは日々の相談で「大会に参加する予定はありますか」と聞くこと、最新情報にアクセスできるようにすること、判断に迷った際の照会先を把握することから始められます。吸入薬の使い方を説明する場面では、DPIとpMDIの違い・変更時の吸入指導も活用できます。

資格取得や学習の時間を確保したい方は、薬剤師の働き方に迷ったらも参考にしてください。休日や業務量、研修への参加のしやすさを整理するきっかけになります。

まとめ|確認するのは「成分・使い方・時期・競技」

ドーピングに関する相談では、製品を特定し、使い方と大会日程を聞いてから公式情報を確認します。結果を記録し、不明な点は照会につなげましょう。サプリメントのリスク説明やTUEの確認も、選手の治療と競技参加を支える大切な対応です。

参考文献・確認先

確認日:2026年10月11日。JADAの資料は公式WEBサイトの各項目から参照できます。

  1. JADA「11のアンチ・ドーピング規則違反」:JADA公式WEBサイト(ルールと規則違反)
  2. JADA「2026年禁止表国際基準」「2027年禁止表の発効案内」:JADA公式WEBサイト(アンチ・ドーピングの規程→国際基準)
  3. JADA「よくあるご質問」:JADA公式WEBサイト(体内に入った成分/治療薬/TUE)
  4. JADA「アンチ・ドーピング研修会スライド」:JADA公式WEBサイト(資料名で検索)
  5. Global DRO(日本版)
  6. JADA「アンチ・ドーピングとサプリメント」:JADA公式WEBサイト(アンチ・ドーピングルール)
  7. JADAクリーンスポーツ・アスリートサイト「薬の使用及び治療使用特例(TUE)」
  8. 公認スポーツファーマシスト公式サイト

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