セルフメディケーションってなに?税制と薬の買い方にどう関係あるの?

「セルフメディケーション」という言葉、最近少しずつ聞くようになりましたが、内容まではよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
実はこの考え方、国が進めている【医療費削減】にもつながる大事なキーワードなんです。
本記事では、
- セルフメディケーションとは何か
- それを支援する【セルフメディケーション税制】とは?
- 制度の見直しでOTC医薬品(市販薬)の買い方がどう変わったか
- そして薬剤師としてどんな行動が求められているか
この4点を、わかりやすく解説していきます。
セルフメディケーションとは?

簡単に言うと、「自分の健康は自分で守る」という考え方です。
例えば、
- 日ごろから体調に気をつけて生活する
- 軽い風邪や頭痛なら、市販薬(OTC医薬品)で対処する
- 定期的に健康診断を受けて、病気を未然に防ぐ
こういった行動が、セルフメディケーションの一部になります。
病院に頼りすぎず、自分で体調を管理することが目的です。もちろん、病院を受診すべきときはちゃんと受診することも含まれます。
セルフメディケーション税制ってどんな制度?

このセルフメディケーションを支援するために作られたのが、「セルフメディケーション税制」という仕組みです。
ざっくり言うと、
👉 対象となる市販薬を、一定金額以上買ったら、所得控除が受けられるというもの。
【具体的には】
- 対象のOTC医薬品を年間1万2,000円以上買うと、税金の一部が戻ってくる(控除される)
- 対象になるのは、セルフメディケーション税制識別マークがついているOTC医薬品
- 対象者は、健康診断やがん検診など、健康管理をしている人(証明書が必要)
【注意点】
- すべての市販薬が対象ではない(普通の風邪薬でも対象外のことも)
- 領収書やレシートを保管しておく必要あり
- 確定申告が必要
制度の見直しで何が変わった?

制度が始まってから数年が経ちましたが、実はあまり使われていない制度なんです。利用者は全体の1%以下という報告もあります。
その原因として、
- 対象薬が分かりにくい
- 確定申告の手間がある
- 健診証明書などの準備が大変
といったハードルが挙げられます。
そのため、近年は制度の簡素化や、対象薬の見直しが行われ、より使いやすい制度へと変わりつつあります。
OTC医薬品の買い方はどう変わった?

制度の見直しにより、購入の傾向にも変化が出ています。
【よくある変化】
- 「控除対象かどうか分からないから、とにかく安い薬を選ぶ」
- 「どうせ確定申告しないから、関係ないと割り切る」
- 「制度をうまく活用したいから、対象薬だけを選んで買う」
つまり、「制度を知っているかどうか」で、買い方が変わってきているのです。
ここで、薬剤師の出番です。
薬剤師ができる3つのサポート

セルフメディケーション税制を活用するには、「正しい情報提供」がカギです。薬剤師として、以下のような行動が求められます。
1. 対象のOTC医薬品をわかりやすく案内する
「この薬、税制の対象ですよ」と声かけするだけでもお客様の理解が深まります。POPや棚ラベルも活用しつつ、一言添える工夫が大切です。
2. 健康管理のアドバイスも一緒に伝える
「この制度、健康診断を受けている人が使えるんですよ」といった補足説明で、“健康意識を高める”お手伝いができます。
3. 節約の視点からメリットを伝える
たとえば「ちょっと高く見える薬でも、税金が戻ると実はお得」という伝え方をすると、選び方の基準が変わることもあります。
まとめ|セルフメディケーションの普及には薬剤師の力が必要

セルフメディケーション税制は、正しく使えば市販薬で体調管理しながら、税金の控除も受けられるお得な制度です。
でも、知らなければ活用できず、せっかくの制度が埋もれてしまいます。
薬剤師は、日常の会話の中で少しずつ
「この薬、税制の対象ですよ」
「健康診断、毎年受けてますか?」
といった言葉を添えるだけでも、健康と家計を支える存在になれるのです。
これからの薬剤師は「売る人」ではなく、「選び方を支える人」。
制度を知り、正しく伝えることが、信頼される薬剤師への第一歩です。
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