糖尿病の治療で、毎日注射をしなければいけないのが大変…と感じている人にとって、週に1回だけ注射すればいい薬「アウィクリ」が注目されています。
この記事では、アウィクリって何?どんな特徴があるの?どうやって使うの?といったことを、薬剤師の視点から紹介していきます。
アウィクリとは?週1回注射するインスリンの薬

● インスリンってなに?
インスリンは、私たちの体が食べ物からとった「糖(砂糖のようなもの)」をうまく使うために必要なホルモンです。でも、糖尿病という病気になると、このインスリンがうまく働かなくなったり、足りなくなったりします。
そこで、体の外からインスリンを注射で補うのが、糖尿病の治療のひとつです。
● アウィクリはどんな薬?
アウィクリは、「基礎インスリン」と呼ばれる種類の薬で、血糖値を一日中安定させるために使われます。今までのインスリンは「毎日1回注射」することが多かったのですが、アウィクリは週に1回だけでOKなのが大きな特長です。
なぜアウィクリが注目されているの?

注射が週1回だけでOK!
今までのインスリン治療では、毎日1回は注射をしなければいけないのが普通でした。でも、毎日の注射って、やっぱり面倒ですよね。
たとえば、旅行や外出の予定があるとき、
- 「注射を持って行くのを忘れた!」
- 「周りの人に見られるのがちょっと…」
なんて困ることもあります。
そんな中で登場したのが「アウィクリ」です。
アウィクリは、週に1回だけ注射すればOKなインスリンの薬。たとえば「毎週月曜日の朝に注射する」と決めておけば、その1回で1週間分の効果が続きます。
だから、
- 注射のことを思い出す回数が減って、ストレスも少なくなる
- 注射を忘れてしまうリスクも小さくなる
といったメリットがあります。
毎日ではなく、「週1回だけでいい」というシンプルさが、患者さんにとって大きな助けになります。
長い時間しっかり効くインスリン
アウィクリの中には「インスリン イコデク」という特別な成分が入っています。
このインスリンは、体に入ってからゆっくりじわじわと働くように作られています。そのおかげで、たった1回の注射でも、7日間ずっと血糖値を安定させる効果があるのが特徴です。
これにより、患者さんの生活はぐっとラクになりますし、注射回数が減ることで、治療を長く続けやすくなるのもメリットです。
アウィクリの使い方と注意点

● どんなふうに注射するの?
アウィクリは「皮下注射(ひかちゅうしゃ)」という方法で体に入れます。皮下注射というのは、皮ふのすぐ下に薬を入れる方法で、おしりや腕ではなく、おなかや太ももなどに打つのが一般的です。
注射と聞くと「こわい」「痛そう」と感じるかもしれませんが、アウィクリは細い針を使う専用の注射器(ペン型)で注射します。針もとても小さいので、思っているよりも痛みは少ないと感じる人が多いです。
最初は病院で、医師や看護師がやり方をていねいに教えてくれます。慣れてくれば、自分で注射できるようになりますし、不安があるときはいつでも相談できます。
注射のタイミングはとても大切で、アウィクリは週に1回だけ使う薬なので、決めた曜日と時間に打つようにしましょう。
時間がバラバラになったり、曜日を忘れたりすると、薬の効果が安定しなくなることがあります。
● 気をつけることはあるの?
アウィクリはとても便利な薬ですが、使うときにはいくつか注意してほしいことがあります。
■ 低血糖に注意!
アウィクリを使っていると、ときどき「血糖値が下がりすぎる」ことがあります。これを「低血糖(ていけっとう)」といいます。
血糖値が下がりすぎると、次のような症状が出ることがあります:
- 手がふるえる
- 体が冷たく感じる
- おなかが急にすく
- 頭がぼーっとする
- ドキドキしてくる
- イライラしたり不安になったりする
これらの症状が出たときは、すぐにブドウ糖や砂糖、ジュース(コーラなど)を飲むと、血糖値が回復して症状も落ち着きます。
■ 他のお薬や病気にも注意!
アウィクリを使う前には、
- すでに飲んでいる薬がある
- 持病がある(腎臓病・肝臓病など)
- 体調がいつもと違う
といった場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。
他のお薬と一緒に使うと、効果が強く出すぎてしまったり、逆にうまく効かなくなってしまったりすることがあります。
また、熱が出ているときや食欲がないときなど、体調が悪いときはインスリンの量を変える必要があることもあるので、自己判断で使い続けず、必ず相談するようにしましょう。
薬剤師からのアドバイス

アウィクリはとても便利な薬ですが、自己判断で使うのはNGです。
- 「1回忘れたから2回分打とう」→これは危険!
- 「血糖値がよかったからやめてみよう」→これもダメ!
何か気になることがあったら、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
また、血糖値の変化をきちんと記録することや、定期的に病院で検査を受けることも大切です。
まとめ

- アウィクリは、週に1回注射するだけでOKなインスリンの薬です。
- 毎日の注射に比べて、使いやすく続けやすいのが特長です。
- 正しく使えば、血糖値を安定させる力強い味方になります。
- でも、自己判断で使い方を変えたりするのはNG!必ず医師や薬剤師と相談しながら使いましょう。
糖尿病の治療は長く続きますが、アウィクリのような新しい薬をうまく使えば、より快適な毎日が送れるかもしれません。
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