SGLT2阻害薬というと、「尿から糖を出して血糖値を下げる薬」と覚えている方も多いのではないでしょうか。
私も薬剤師として働き始めた頃は、SGLT2阻害薬を「比較的新しい糖尿病治療薬の一つ」として覚えていました。
しかし現在では、それだけでは不十分です。
ダパグリフロジン(フォシーガ)やエンパグリフロジン(ジャディアンス)は、糖尿病だけでなく慢性心不全や慢性腎臓病でも使用されます。
そのため薬局でも、
「糖尿病ではないのにフォシーガが処方されているのはなぜ?」
「ジャディアンス10mgは血糖値を下げる目的?」
「SGLT2阻害薬はどれも同じように見えるけど、何が違う?」
と迷うことがあります。
また、脱水、尿路・性器感染症、ケトアシドーシス、シックデイなど、服薬指導で確認したいポイントも多い薬です。
この記事では、SGLT2阻害薬の作用機序から6成分の違いと使い分け、副作用、服薬指導まで薬剤師向けに整理します。
- SGLT2阻害薬とは?
- SGLT2阻害薬6成分を一覧で比較
- フォシーガ|糖尿病・心不全・慢性腎臓病で使われる
- ジャディアンス|フォシーガと並ぶ心・腎領域の重要薬
- カナグル|糖尿病を合併するCKDにも注目
- スーグラ|1型糖尿病への適応も特徴
- ルセフィ|剤形にも特徴があるSGLT2阻害薬
- デベルザ|2型糖尿病で使用されるSGLT2阻害薬
- 結局、SGLT2阻害薬はどう使い分ける?
- SGLT2阻害薬が心不全で使われる理由
- 慢性腎臓病では「イニシャルディップ」を理解する
- SGLT2阻害薬で注意したい副作用
- 脱水|利尿薬併用患者では特に確認する
- 尿路感染症・性器感染症
- 血糖値が高くなくてもケトアシドーシスに注意
- シックデイでは休薬を考える
- 手術予定がある患者も確認する
- SGLT2阻害薬と低血糖
- 薬剤師が服薬指導で確認したい7つのポイント
- SGLT2阻害薬の薬歴には何を書く?
- SGLT2阻害薬6剤の使い分けをもう一度整理
- まとめ|SGLT2阻害薬は「糖尿病薬」で終わらせない
- あわせて読みたい
- 今の職場で薬の知識を深める時間が取れていますか?
SGLT2阻害薬とは?
SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管に存在する「ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)」を阻害する薬です。
通常、糸球体でろ過されたブドウ糖の多くは尿細管から再吸収され、体内へ戻ります。
この再吸収に大きく関わっているのがSGLT2です。
SGLT2阻害薬によってSGLT2の働きを抑えると、ブドウ糖の再吸収が減り、尿中への糖排泄が増加します。
その結果、血糖値を下げます。
ポイントは、インスリンの分泌を直接刺激する薬ではないことです。
そのためSGLT2阻害薬単独では低血糖を起こしにくい一方、インスリン製剤やスルホニル尿素薬などと併用している場合には低血糖に注意する必要があります。
さらに現在では、血糖降下作用だけでなく心不全や慢性腎臓病に対する有用性が示され、SGLT2阻害薬の位置づけは大きく変わっています。
SGLT2阻害薬6成分を一覧で比較
国内で使用されている主なSGLT2阻害薬を整理すると、以下のようになります。
| 一般名 | 主な商品名 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ダパグリフロジン | フォシーガ | 糖尿病に加えて慢性心不全・慢性腎臓病でも使用 |
| エンパグリフロジン | ジャディアンス | 糖尿病に加えて慢性心不全・慢性腎臓病でも使用 |
| カナグリフロジン | カナグル | 2型糖尿病、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に使用 |
| イプラグリフロジン | スーグラ | 2型糖尿病に加えて1型糖尿病にも適応 |
| ルセオグリフロジン | ルセフィ | 糖尿病治療に使用。剤形にも特徴あり |
| トホグリフロジン | デベルザ | 2型糖尿病に使用 |
同じSGLT2阻害薬でも、すべての薬が同じ適応を持っているわけではありません。
そのため、
「SGLT2阻害薬ならどれでも同じ」
ではなく、
何を目的として処方されているのか
を最初に確認することが使い分けを理解するポイントです。
フォシーガ|糖尿病・心不全・慢性腎臓病で使われる
フォシーガの一般名はダパグリフロジンです。
SGLT2阻害薬の中でも、現在特に押さえておきたい薬の一つだと思います。
大きな特徴は、糖尿病だけでなく、慢性心不全や慢性腎臓病でも使用されることです。
そのため、薬局でフォシーガが処方されていたからといって、
「糖尿病ですね」
と決めつけることはできません。
特に、
- 糖尿病治療薬がほかに処方されていない
- 利尿薬を服用している
- 心不全治療薬が複数処方されている
- 腎機能について定期的に確認されている
といった患者では、心不全や慢性腎臓病を目的として使用されている可能性も考えます。
薬局では、
「この薬は何の目的で処方されていると説明を受けていますか?」
と確認しておくと、その後の服薬指導につながります。
フォシーガを一言で覚えるなら
「糖尿病+心不全+CKD」
と整理すると分かりやすいでしょう。

ジャディアンス|フォシーガと並ぶ心・腎領域の重要薬
ジャディアンスの一般名はエンパグリフロジンです。
ジャディアンスもフォシーガと同じように、2型糖尿病だけでなく慢性心不全や慢性腎臓病で使用されます。
薬局では、
「フォシーガとジャディアンスは心不全・CKDでも見る」
とセットで覚えておくと分かりやすいと思います。
ただし、
「フォシーガとジャディアンスのどちらが強いのか?」
という単純な比較で使い分ける薬ではありません。
適応疾患、患者背景、腎機能、これまでの治療、併用薬などを考慮して選択されます。
薬剤師として重要なのは「どちらが優れているか」を決めることではなく、
この患者にSGLT2阻害薬が何の目的で処方されているのか
を把握することです。
ジャディアンスを一言で覚えるなら
「フォシーガと並ぶ心・腎SGLT2阻害薬」
として整理すると覚えやすいです。
カナグル|糖尿病を合併するCKDにも注目
カナグルの一般名はカナグリフロジンです。
ここは名前が似ていて混乱しやすいところです。
カナグリフロジン=カナグル
です。
スーグラではありません。
カナグルは2型糖尿病に使用されるほか、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病にも適応があります。
この点は、フォシーガやジャディアンスとの違いを理解するときに重要です。
フォシーガやジャディアンスでは、糖尿病の有無にかかわらず慢性腎臓病で使用される場合があります。
一方、カナグルの慢性腎臓病への適応は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」です。
「CKDにも使えるSGLT2阻害薬」とだけ覚えてしまうと違いが分かりにくくなるので注意しましょう。
通常、成人ではカナグリフロジンとして100mgを1日1回、朝食前または朝食後に服用します。
カナグルを一言で覚えるなら
「カナグリフロジン=カナグル。糖尿病+糖尿病合併CKD」
と整理すると分かりやすいです。
また、DPP-4阻害薬テネリグリプチンとの配合剤「カナリア配合錠」があるため、配合剤から覚える方法もあります。
スーグラ|1型糖尿病への適応も特徴
スーグラの一般名はイプラグリフロジンです。
イプラグリフロジン=スーグラ
です。
スーグラの特徴の一つが、2型糖尿病だけでなく1型糖尿病にも使用されることです。
ただし、1型糖尿病の場合、SGLT2阻害薬がインスリンの代わりになるわけではありません。
インスリン治療に追加して使用されます。
特に注意したいのがケトアシドーシスです。
SGLT2阻害薬では、血糖値がそれほど高くない状態でもケトアシドーシスを起こすことがあります。
1型糖尿病患者では、
- インスリンを自己判断で減量していないか
- インスリンを中断していないか
- 食事が取れているか
- 吐き気や腹痛はないか
- 強い倦怠感はないか
などを確認することが重要です。
スーグラを一言で覚えるなら
「イプラグリフロジン=スーグラ。1型糖尿病にも適応」
と覚えておくと特徴をつかみやすくなります。
ルセフィ|剤形にも特徴があるSGLT2阻害薬
ルセフィの一般名はルセオグリフロジンです。
糖尿病治療に使用されるSGLT2阻害薬です。
ルセフィには錠剤だけでなく、ODフィルム製剤もあります。
SGLT2阻害薬の使い分けというと、どうしても薬効や適応疾患ばかりに目が向きます。
しかし実際の患者さんでは、
「錠剤が飲みにくい」
「服用しやすい剤形にしたい」
といった問題もあります。
薬剤師としては、薬効だけでなく剤形も含めて考えることが大切です。
ルセフィを一言で覚えるなら
「ルセオグリフロジン=ルセフィ。剤形にも特徴」
と整理するとよいでしょう。
デベルザ|2型糖尿病で使用されるSGLT2阻害薬
デベルザの一般名はトホグリフロジンです。
2型糖尿病に使用されます。
通常、成人ではトホグリフロジンとして20mgを1日1回、朝食前または朝食後に服用します。
フォシーガやジャディアンスのように慢性心不全・慢性腎臓病の適応を持つ薬との違いを意識すると整理しやすいでしょう。
デベルザを一言で覚えるなら
「トホグリフロジン=デベルザ。2型糖尿病」
です。
結局、SGLT2阻害薬はどう使い分ける?
SGLT2阻害薬の使い分けを考えるときは、「どの薬の血糖降下作用が強いか」だけで考えないことが重要です。
まずは処方目的から考えてみましょう。
慢性心不全がある
まず意識したいのが、
- フォシーガ
- ジャディアンス
です。
どちらも慢性心不全の治療で使用されます。
そのため、糖尿病のない患者に処方されていても不思議ではありません。

慢性腎臓病がある
慢性腎臓病では、
- フォシーガ
- ジャディアンス
が重要な選択肢になります。
また、カナグルには2型糖尿病を合併する慢性腎臓病への適応があります。
つまり、
CKDならSGLT2阻害薬は全部同じ
というわけではありません。
適応疾患まで確認する必要があります。

1型糖尿病で処方されている
スーグラの特徴を押さえておきましょう。
インスリンとの併用が前提となるため、特にケトアシドーシスに注意します。
2型糖尿病で使用する
2型糖尿病では複数のSGLT2阻害薬が選択肢になります。
この場合には、
- 合併症
- 腎機能
- 年齢
- 併用薬
- 脱水リスク
- 低血糖リスク
- 服用タイミング
- 剤形
などを総合的に考えます。
薬剤師としては、
「なぜこのSGLT2阻害薬なのか?」
という視点を持って処方を見ることが重要です。
SGLT2阻害薬が心不全で使われる理由
SGLT2阻害薬の心不全に対する作用を、
「尿が出るから心臓が楽になる」
とだけ理解するのは十分ではありません。
SGLT2阻害薬には浸透圧利尿やナトリウム排泄を促す作用がありますが、それだけでは心不全への有用性をすべて説明できません。
現在では大規模臨床試験によって、SGLT2阻害薬の心不全に対する有用性が示されています。
そのため現在の心不全治療では、SGLT2阻害薬は重要な治療選択肢の一つです。
処方を見ると、
- SGLT2阻害薬
- ARNI、ACE阻害薬、ARB
- β遮断薬
- MRA
- ループ利尿薬
などが組み合わされていることがあります。
薬剤師としては、それぞれを単独の「血圧の薬」「糖尿病の薬」「利尿薬」と見るのではなく、心不全治療全体の中で処方を見ることが大切です。


慢性腎臓病では「イニシャルディップ」を理解する
SGLT2阻害薬を開始したあと、一時的にeGFRが低下することがあります。
これを「イニシャルディップ(initial dip)」と呼びます。
そのため、
「SGLT2阻害薬を開始したらeGFRが少し低下した=薬で腎機能が悪化した」
と単純に判断することはできません。
一方で、大きな腎機能低下や脱水などが疑われる場合には評価が必要です。
薬剤師としては、
- eGFR
- 血清クレアチニン
- 血圧
- 体重
- 水分摂取状況
- 下痢・嘔吐
- 利尿薬の併用
- NSAIDsの使用
などを合わせて確認すると処方をより深く見ることができます。


SGLT2阻害薬で注意したい副作用
SGLT2阻害薬は非常に有用な薬ですが、特徴的な副作用があります。
薬剤師として特に押さえておきたいのは、
- 脱水
- 尿路感染症・性器感染症
- ケトアシドーシス
- 低血糖
- 皮膚症状
- フルニエ壊疽
などです。
なかでも薬局で意識したいのが、
脱水・感染症・ケトアシドーシス・シックデイ
です。
脱水|利尿薬併用患者では特に確認する
SGLT2阻害薬を服用すると尿中へのブドウ糖排泄が増え、それに伴って浸透圧利尿が起こります。
そのため体液量が減少することがあります。
特に注意したいのは、
- 高齢者
- 利尿薬を使用している
- 水分摂取量が少ない
- 下痢や嘔吐がある
- 発熱している
- 食事摂取量が低下している
- 夏場に発汗量が増えている
といった患者です。
薬局では、
「水分は取れていますか?」
「立ちくらみやふらつきはありませんか?」
「最近、下痢や嘔吐はありませんか?」
といった確認が実務的です。
「水をたくさん飲んでください」と一律に言わない
ここは心不全患者で特に注意したいポイントです。
SGLT2阻害薬による脱水を心配して、
「水をたくさん飲んでください」
と一律に説明すると、患者によっては適切ではない場合があります。
心不全などで水分量について指示を受けている患者もいるためです。
「医師から水分制限などの指示を受けていますか?」
まで確認してから説明すると、より安全な服薬指導になります。
尿路感染症・性器感染症
SGLT2阻害薬では尿糖が増加するため、尿路感染症や性器感染症に注意します。
服薬指導では、
- 排尿時の痛み
- 頻尿
- 尿のにごり
- 陰部のかゆみ
- 陰部の違和感
- 陰部の発赤
などがないか確認します。
こうした症状が認められる場合には、早めに医療機関へ相談するよう説明します。
また、頻度は高くありませんが、重篤な感染症としてフルニエ壊疽にも注意が必要です。
会陰部の強い痛み、腫れ、発赤、発熱などが認められる場合には速やかな対応が必要です。
血糖値が高くなくてもケトアシドーシスに注意
SGLT2阻害薬で特に覚えておきたいのがケトアシドーシスです。
糖尿病性ケトアシドーシスというと、
「血糖値がかなり高くなる」
というイメージがあります。
しかしSGLT2阻害薬では、血糖値が著しく高くない状態でもケトアシドーシスを発症することがあります。
いわゆる「正常血糖ケトアシドーシス」です。
次のような症状が認められた場合には注意します。
- 強い倦怠感
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹痛
- 食欲低下
- 呼吸苦
- 強い口渇
大切なのは、
「血糖値がそれほど高くないから大丈夫」とは判断できない
ということです。
SGLT2阻害薬を使用している患者から、
「吐き気があって食事が取れない」
「体がだるくて調子が悪い」
と相談を受けた場合には、ケトアシドーシスの可能性も頭に置いて対応します。
シックデイでは休薬を考える
SGLT2阻害薬の服薬指導で必ず押さえておきたいのがシックデイです。
発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などによって食事や水分を十分に取れない状態でSGLT2阻害薬を継続すると、脱水やケトアシドーシスのリスクが高まる可能性があります。
日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」では、
- 発熱
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲不振
などで食事が十分に摂れない場合にはSGLT2阻害薬を休薬することが示されています。
服薬指導では、
「発熱や下痢、嘔吐などで食事や水分が十分に取れないときは、そのまま飲み続けず、医師や薬剤師に相談してください」
と伝えておくとよいでしょう。
一度説明しても、数か月後には患者さんが忘れていることがあります。
継続処方でも、夏場や感染症が流行する時期などに改めて確認する価値があると思います。
手術予定がある患者も確認する
手術を予定している患者では、SGLT2阻害薬の休薬について確認する必要があります。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、予定手術の場合は術前3日前から休薬し、術後は十分に食事が摂取できるようになってから再開することが示されています。
薬局でも、
「来週手術を受けます」
「検査のため入院します」
といった話が患者さんから出た場合には、SGLT2阻害薬を服用していないか確認したいところです。
実際の休薬・再開については、患者背景や手術内容などによって判断が必要なため、主治医や手術を担当する医療機関の指示を確認してください。
SGLT2阻害薬と低血糖
SGLT2阻害薬はインスリン分泌を直接刺激しないため、単独では低血糖を起こしにくい薬です。
ただし、
- インスリン製剤
- スルホニル尿素薬
- 速効型インスリン分泌促進薬
などと併用している患者では低血糖に注意します。
したがって、
「SGLT2阻害薬は低血糖を起こさない」
ではなく、
「単独では起こしにくいが、併用薬によって低血糖リスクは変わる」
と覚えておくと実務的です。
薬剤師が服薬指導で確認したい7つのポイント
SGLT2阻害薬が処方されていたら、私は次のようなポイントを意識して確認します。
1.何の目的で処方されているか
まず確認したいのが処方目的です。
- 2型糖尿病
- 1型糖尿病
- 慢性心不全
- 慢性腎臓病
など、薬剤によって適応が異なります。
特にフォシーガやジャディアンスでは、
「糖尿病治療薬だから血糖値だけを見る」
という考え方では不十分です。
2.水分は取れているか
口渇、ふらつき、立ちくらみなどがないか確認します。
ただし、心不全などで水分摂取量について指示を受けている患者では、自己判断で水分摂取量を増やさないよう注意します。
3.下痢・嘔吐・発熱はないか
シックデイに該当していないか確認します。
特に、
「昨日からほとんど食事が取れていない」
といった患者では、そのままSGLT2阻害薬を服用してよいか確認が必要です。
4.排尿時痛や陰部症状はないか
排尿時痛、尿のにごり、陰部のかゆみなど、尿路感染症・性器感染症を疑う症状がないか確認します。
患者側から言い出しにくい症状でもあるため、必要に応じて薬剤師側から確認することも大切です。
5.利尿薬を併用していないか
フロセミド、トラセミド、アゾセミドなどの利尿薬を併用している場合には、過度な体液量減少に注意します。
- 血圧
- 体重
- 口渇
- ふらつき
- 食事・水分摂取状況
などを確認します。

6.インスリンやSU薬を併用していないか
インスリン製剤やスルホニル尿素薬などを併用している場合には低血糖症状にも注意します。
特に食事量が減った患者では、併用薬も含めて考える必要があります。
7.手術・入院予定はないか
手術や入院予定がある患者では、SGLT2阻害薬の休薬について指示を受けているか確認します。
患者さんから何気なく、
「来週入院するんです」
と言われた場合にも、服用中のSGLT2阻害薬を意識できるとよいでしょう。
SGLT2阻害薬の薬歴には何を書く?
SGLT2阻害薬の薬歴で、
「副作用なし。継続。」
だけでは少しもったいないと思います。
患者背景に応じて、たとえば次のような項目を確認すると次回の服薬指導にもつながります。
- 処方目的
- 水分摂取状況
- 食事摂取状況
- 下痢・嘔吐・発熱の有無
- 排尿時痛
- 陰部症状
- 口渇
- ふらつき
- 体重変化
- 血圧
- 利尿薬の併用
- インスリン・SU薬の併用
- シックデイの理解
- 手術・入院予定
- 腎機能
すべてを毎回確認する必要はありません。
患者背景や処方目的に合わせて、必要な項目を選択して確認するとよいでしょう。
薬歴記載例
「フォシーガ10mg継続。慢性心不全目的で使用していることを本人も理解。フロセミド併用中。ふらつき、強い口渇なし。食事・水分摂取良好。発熱・下痢・嘔吐なし。シックデイ時は服用継続せず医療機関へ相談することを再確認。」
このように、
処方目的+患者状態+副作用確認+指導内容
まで残しておくと、次回につながる薬歴になります。
SGLT2阻害薬6剤の使い分けをもう一度整理
最後に、新人薬剤師向けにかなり簡単に整理します。
フォシーガ
ダパグリフロジン
→ 糖尿病+慢性心不全+慢性腎臓病
ジャディアンス
エンパグリフロジン
→ 糖尿病+慢性心不全+慢性腎臓病
カナグル
カナグリフロジン
→ 2型糖尿病+2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
スーグラ
イプラグリフロジン
→ 2型糖尿病+1型糖尿病にも適応
ルセフィ
ルセオグリフロジン
→ 糖尿病。剤形にも特徴あり
デベルザ
トホグリフロジン
→ 2型糖尿病
まずはこの違いを押さえたうえで、
「この患者さんに、なぜこのSGLT2阻害薬が選ばれているのか?」
と考えてみることをおすすめします。
まとめ|SGLT2阻害薬は「糖尿病薬」で終わらせない
SGLT2阻害薬は、尿中へのブドウ糖排泄を増加させることで血糖値を下げる薬として登場しました。
しかし現在では、その位置づけは大きく広がっています。
薬剤師として特に押さえておきたいのは、
- SGLT2を阻害して尿中への糖排泄を増やす
- 単独では低血糖を起こしにくい
- 薬剤によって適応疾患が異なる
- フォシーガ・ジャディアンスは心不全・CKDでも重要
- カナグルは2型糖尿病を合併するCKDにも適応
- スーグラは1型糖尿病にも使用される
- 脱水に注意する
- 尿路感染症・性器感染症を確認する
- 正常血糖ケトアシドーシスに注意する
- シックデイでは休薬を考える
- 利尿薬併用時は体液量減少にも注意する
- 処方目的を確認してから服薬指導する
という点です。
新人薬剤師の方には、SGLT2阻害薬を見たときに、
「糖尿病の薬ですね」
だけで終わらせず、
「この患者さんでは何を目的に使っているんだろう?」
と一度考えてみてほしいと思います。
処方目的が分かれば、併用薬の意味や確認すべき副作用、必要な服薬指導も見えやすくなります。
SGLT2阻害薬は、糖尿病・心不全・腎臓病をつなげて学ぶのに、とても分かりやすい薬の一つだと思います。
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SGLT2阻害薬のように、一つの薬が糖尿病・心不全・慢性腎臓病と複数の領域にまたがって使用されるケースは増えています。
薬剤師として処方意図まで理解しようとすると、日々の勉強も欠かせません。
一方で、
「忙しすぎて勉強する時間がない」
「処方について相談できる人がいない」
「もっと幅広い処方を経験したい」
と感じることもあると思います。
転職を急ぐ必要はありませんが、今の職場以外にどのような環境があるのかを知っておくことは、自分の働き方を考えるきっかけになります。

参考文献・情報源
※医薬品の効能・効果、用法・用量、安全性情報は改訂されることがあります。実際の処方監査・服薬指導では、必ず最新の電子添文やガイドラインをご確認ください。
1.日本糖尿病学会
糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation
https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/SGLT2.pdf
Recommendation一覧
https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=430
2.PMDA
フォシーガ錠5mg/10mg(ダパグリフロジン)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/3969019F1027_2
3.PMDA
ジャディアンス錠10mg/25mg(エンパグリフロジン)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/3969023F1023_1
4.PMDA
カナグル錠100mg/カナグルOD錠100mg(カナグリフロジン)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400315_3969022F1029_1_25
5.PMDA
スーグラ錠25mg/50mg(イプラグリフロジン)
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/800126_3969018F1022_1_00G.pdf
6.PMDA
ルセフィ錠(ルセオグリフロジン)
https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2025/P20250526002/400059000_22600AMX00540_B100_1.pdf
7.PMDA
デベルザ錠20mg(トホグリフロジン)
https://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400036/780069000_22600AMX00549_D100_1.pdf


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