「コロナワクチンは今年も対象?」「RSウイルスのワクチンは妊婦さんも受けられる?」「帯状疱疹は1回で終わる?」。薬局でのワクチン相談では、製品の特徴と公費による接種制度を分けて確認することが大切です。
まず整理したいのは、①予防する病気、②接種できる人、③定期接種の対象、④接種回数の4点。承認された年齢に当てはまっても、定期接種の対象になるとは限りません。
この記事では、新型コロナ・RSウイルス・帯状疱疹ワクチンを、薬剤師が患者さんに説明するときの視点で比較します。
情報確認日:2026年10月22日。接種期間・自己負担額・実施医療機関は自治体によって異なるため、案内時には居住地の最新情報も確認してください。本記事には広告を含みます。
5分で整理|3つのワクチンは対象と目的が違う
| ワクチン | 主な目的 | 2026年度の制度で押さえる点 |
|---|---|---|
| 新型コロナ | 新型コロナウイルス感染症の重症化などを予防 | 65歳以上などが定期接種の対象。秋冬に年1回 |
| RSウイルス | 成人自身の感染症予防/母子免疫による乳児の下気道疾患予防 | 2026年度から妊婦への母子免疫ワクチンが定期接種に。成人向けと区別 |
| 帯状疱疹 | 帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛などの合併症を予防 | 年度内に65歳となる人などが対象。生ワクチンは1回、組換えは2回 |
同じ「65歳」でも、新型コロナは原則として65歳以上、帯状疱疹は年度ごとの対象年齢を確認します。「高齢者なら全部、公費の対象」と一括りにしないことがポイントです。[1–4]
新型コロナワクチン|2026年度の対象者と使用株を確認
定期接種は65歳以上などが対象
2026年度も新型コロナワクチンの定期接種が実施されています。対象は65歳以上の人と、60~64歳で一定の障害がある人です。後者は、心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される人、またはHIVによる免疫機能障害で日常生活がほとんど不可能な人に限られます。[1]
「基礎疾患がある」「医療従事者である」というだけで、定期接種の対象になるわけではありません。対象外の人の任意接種は、製品の適応と医療機関の対応を確認します。
定期接種は秋冬に年1回で、2026年度の国の資料では10月1日~翌年3月31日が示されています。ただし、実施期間は自治体で異なる場合があり、費用も原則有料です。[1,2]
「最新はXBB対応」という説明は更新が必要
ワクチンの抗原組成は年度ごとに見直されます。2026年度の厚生労働省資料では、オミクロン株XFGまたはNB.1.8.1に対応する製品が示されています。過去の接種券や古い資料だけで説明せず、接種予定の製品と当該年度の資料を照合しましょう。[2]
患者さんには、例えば「今年の対象になるかを確認したうえで、前回の接種日や副反応の内容を接種医に伝えましょう」と案内します。接種の目的は感染を完全に防ぐことではなく、重症化などのリスクを下げることです。[1]
RSウイルスワクチン|成人向けと母子免疫を分けて説明
成人向けの2製品は接種対象が異なる
組換えRSウイルスワクチンには、アレックスビー筋注用とアブリスボ筋注用があります。成人向けの主な対象を以下に整理します。[5,6]
| 製品名 | 成人向けの接種対象 | 確認したい違い |
|---|---|---|
| アレックスビー筋注用 | 60歳以上、またはRSウイルス感染症が重症化するリスクが高い18歳以上 | 母子免疫による乳児の予防への適応はない |
| アブリスボ筋注用 | 60歳以上 | 成人向けとは別に、妊婦への接種による母子免疫の適応がある |
いずれも成人向けは1回0.5mLを筋肉内に接種します。アレックスビーの18歳以上の対象には、慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病、糖尿病などのリスクがある人が含まれます。年齢だけで判断せず、電子添文にある背景を確認してください。[5]
成人自身の予防を目的とする接種と、妊婦に対する定期接種は別制度です。成人の相談では、任意接種の費用や自治体独自の助成の有無も確認します。
2026年度から妊婦への母子免疫ワクチンが定期接種に
母子免疫では、妊婦への接種で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移り、生まれた子どものRSウイルスによる下気道疾患を予防します。使用するのは組換えRSウイルスワクチン(アブリスボ筋注用)です。[3,6]
定期接種の時期は妊娠28週0日~36週6日、回数は1回です。承認上の妊娠週数の範囲と、定期接種の範囲を混同しないようにしましょう。接種後14日以内に出生した乳児での有効性は確立していないため、出産予定も踏まえて産科で相談します。[3,6]
薬局では妊娠週数と出産予定日を確認し、母子健康手帳や自治体の案内につなげます。出生後の乳児に投与するモノクローナル抗体製剤は、妊婦に接種するワクチンとは異なります。[3]
帯状疱疹ワクチン|定期接種の年齢と2製剤の違い
「50歳以上が接種できる」と「定期接種の対象」は別
帯状疱疹ワクチンは2025年度から定期接種になりました。対象は年度内に65歳となる人と、60~64歳でHIVによる免疫機能障害があり日常生活がほとんど不可能な人です。2025~2029年度は経過措置として、年度内に70・75・80・85・90・95・100歳となる人も対象になります。[4]
乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス筋注用)は、承認上は50歳以上に加え、帯状疱疹のリスクが高い18歳以上にも接種できます。ただし、その全員が定期接種や公費助成の対象となるわけではありません。[7]
生ワクチンは1回、シングリックスは2回
| 項目 | 生ワクチン | 組換えワクチン |
|---|---|---|
| 種類・製品 | 乾燥弱毒生水痘ワクチン | 乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス筋注用) |
| 回数・接種経路 | 1回・皮下注射 | 2回・筋肉内注射 |
| 免疫が低下している場合 | 病気や治療によって免疫が低下している人は接種できない | 接種を検討できるが、治療内容と接種時期の評価が必要 |
シングリックスは標準として2か月間隔で2回接種し、2か月を超えた場合も6か月後までに2回目を接種します。リスクが高い18歳以上で短縮による利益が見込まれる場合には、1か月まで短縮できる規定があります。定期接種としての扱いも接種医・自治体に確認します。[4,7]
「免疫抑制中でも必ず接種できる」とは言い切れません。化学療法や造血幹細胞移植などでは、免疫状態と治療計画に応じて適切な時期を決めます。[7]
関連:抗リウマチ薬の違いと使い分け|メトトレキサート・JAK阻害薬・生物学的製剤
薬局のワクチン相談で確認したい5項目
次の項目を聞き取り、接種医に伝える情報を整理しましょう。
- 年齢・居住地・妊娠週数:承認上の対象と、自治体の制度の両方を確認します。
- 接種歴:製品名、接種日、接種回数を記録で確認します。2回製剤では次回予定も確認します。
- 過去の副反応・アレルギー:症状、出現までの時間、受診や治療の有無を具体的に聞きます。
- 治療・服用薬:免疫抑制療法、抗がん薬、抗凝固薬などをお薬手帳と照合します。
- 当日の体調と今後の予定:発熱、急性疾患、治療や出産の予定などを確認します。
抗凝固療法中の人では、筋肉内注射部位の出血に注意が必要です。薬剤師の判断で休薬を指示せず、服用薬を接種医へ共有します。[5–7]
関連:DOACの違いと使い分け/海外旅行前の薬とワクチン相談
副反応は「よくある症状」と「受診が必要な変化」を伝える
接種部位の痛み、発熱、倦怠感などが起こることがありますが、種類や頻度は製品によって異なります。「必ず軽く済む」と断定せず、各製品の説明資材を使いましょう。[1,3–7]
息苦しさや意識の異常などがあれば、速やかな救急対応が必要です。接種後に高熱、けいれん、強い体調の変化が出た場合も医療機関へ相談します。また、アレックスビー、アブリスボ、シングリックスの電子添文には重大な副反応としてギラン・バレー症候群が記載されています。手足に力が入りにくい、歩きにくいなどの症状は、自己判断で経過を見続けないよう説明します。[5–7]
まとめ|対象者・制度・接種歴を確認して説明につなげる
ワクチン相談では、製品名を覚えるだけでなく、接種目的と制度を整理することが大切です。新型コロナは年度ごとの使用製品と対象、RSウイルスは成人向けと母子免疫の違い、帯状疱疹は対象年度と製剤ごとの回数を確認しましょう。
患者さんの背景を聞き取り、電子添文と自治体の情報に照らして、接種医へ必要な情報をつなぐことが薬局での具体的な支援になります。
参考文献・確認先
いずれも2026年10月22日確認。
- 厚生労働省:新型コロナワクチンについて
- 厚生労働省:新型コロナワクチン接種の考え方と最新知見(2026年度の概要)
- 厚生労働省:RSウイルスワクチン
- 厚生労働省:帯状疱疹ワクチン
- PMDA:アレックスビー筋注用 電子添文
- PMDA:アブリスボ筋注用 電子添文
- PMDA:シングリックス筋注用 製品情報・電子添文
学びを続けられる働き方を考えたい方へ
制度の更新を追う時間が取りにくいときは、勉強会の有無だけでなく、業務分担や休日、情報を共有できる体制も振り返ってみてください。薬剤師の働き方に迷ったときの考え方と経験談も参考にしていただけます。
職場の選択肢も比較したい場合は、希望する業務や勤務条件を整理してから、薬剤師向けの転職支援サービスを情報収集に利用する方法もあります。
広告:ファルメイト


コメント