相互作用&服薬指導に使えるプロンプト・テンプレ集【薬局でそのまま活用できる30選】

薬剤師が解説

AIを薬局業務に取り入れるとき、多くの人が最初に迷うのが「どんな指示をすれば実務で使える文章が出てくるのか?」という点です。
ChatGPTなどの生成AIは、与えられる指示(=プロンプト)が曖昧だと、出力内容もぼんやりしたものになってしまいます。しかし、指示の出し方を少し工夫するだけで、薬剤師業務に役立つ「すぐ使える文章」や「チェックリスト」を作成することができます。

このページでは、薬剤師が日常業務でよく遭遇する場面別に、相互作用説明・服薬指導・薬歴記録・在宅対応などに使えるプロンプトとテンプレートをまとめました。
新人薬剤師でも使いやすいように、指示の背景や使い方のポイントも丁寧に解説しています。



1.相互作用説明テンプレート

患者さんへの相互作用の説明は、薬剤師にとって非常に重要な業務の一つです。しかし、医学的な内容をそのまま伝えても、患者さんには理解されにくいことがあります。AIを活用すれば、「なぜ注意が必要なのか」「具体的に何を避けるべきか」「代わりに何をすればいいのか」といったポイントを短くまとめた文章を簡単に作成できます。

以下のプロンプト例をAIに入力するだけで、患者説明に使える文章のたたき台が得られます。

プロンプト例:
「相互作用【ワルファリン×NSAIDs】について、患者向けに200字以内で説明してください。
なぜ注意が必要なのか、何を避けるべきか、代替策はあるかの順で簡潔にまとめてください。」


出力イメージ:
「この2つの薬を一緒に使うと、血が止まりにくくなることがあります。市販の痛み止めを追加で飲むのは控え、症状が強いときは薬剤師や医師に相談してください。」

このテンプレートは、ワルファリン以外の薬剤でも「相互作用名を差し替える」だけで応用可能です。以下のような組み合わせでよく使われます。

  • SSRI × トリプタン系薬
  • デエビゴ × CYP3A阻害薬
  • タクロリムス × グレープフルーツジュース
  • クラリス × スタチン
  • ACE阻害薬 × カリウム保持性利尿薬

ポイント:
・AIに「説明の順序」を具体的に伝える
・字数を指定すると患者説明にちょうどよい長さになる
・薬名を置き換えるだけで複数パターンがすぐ作れる



2.属性別服薬指導テンプレート(高齢者・小児・妊娠授乳)

患者属性によって、説明の内容や言い方を変える必要があります。特に高齢者や小児、妊娠・授乳中の患者では、情報量や言葉の選び方に工夫が必要です。AIは「対象者の属性」を明示することで、自然な言い換えをしてくれます。

プロンプト例(高齢者):
「80代の患者さんに対して、〇〇薬の服薬指導文を300字以内で作成してください。難しい言葉を避け、日常生活に注意点を織り交ぜてください。」


出力イメージ:
「この薬は、血圧を下げて体を楽にするための薬です。飲んだあとに立ち上がるとふらつくことがあるので、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。飲み忘れたときは、気づいた時に1回だけ飲んでください。2回分をまとめて飲むのはやめてください。」

プロンプト例(小児):
「体重15kgの小児に対して、解熱剤の服薬指導文を200字で作成してください。食事との関係や体調不良時の対応も含めてください。」

プロンプト例(妊娠・授乳):
「妊娠初期の患者さんに対して、OTCの薬を使うときの注意点を説明する文章を作成してください。受診勧奨のタイミングも含めてください。」

このように属性を具体的に指定することで、説明文の精度が一気に上がります。



3.薬歴・記録テンプレート

SOAP形式で薬歴を書くとき、S(主観的情報)やO(客観的情報)の部分をAIに要約してもらうと、記録がスムーズになります。特に在宅訪問や忙しい時間帯の記録に有効です。

プロンプト例:
「以下の患者との会話内容をもとに、SOAP形式のSとOを箇条書きで作成してください。短く整理してください。」

(ここにメモや音声書き起こしを貼る)

出力イメージ:
S:夜間の咳が増えてきた。薬はきちんと飲めている。
O:残薬なし、血圧128/76 mmHg、咳症状あり。

このような下書きをもとに薬剤師が「P(判断)」を書き足すことで、薬歴の作成時間を大幅に短縮できます。



4.在宅対応・チェックリストテンプレート

在宅訪問の準備や緊急対応の場面では、チェックリストがあると非常に便利です。AIに「〇〇時のチェックリストを用途別に」などと指示すれば、すぐにたたき台が作成できます。

プロンプト例:
「在宅訪問前の持ち物チェックリストを作成してください。必携・推奨・状況による、の3区分に分けてください。」


出力イメージ(抜粋):

  • 必携:処方箋、薬剤、訪問記録用紙
  • 推奨:血圧計、体温計、予備の袋
  • 状況による:吸入指導用器具、貼付薬のサンプル

このようなチェックリストをテンプレート化しておけば、新人薬剤師や非常勤スタッフでも準備漏れを防げます。



5.プロンプト活用のコツ

AIを使いこなすうえで、プロンプト(指示文)の書き方が非常に重要です。以下の3つのポイントを意識するだけで、実務で使える出力にぐっと近づきます。

  1. 対象を具体的にする(例:80代男性、小児、妊娠初期など)
  2. 出力形式を指定する(例:箇条書き・300字・順番など)
  3. 伝えたい順序や要素を明示する(例:「なぜ→何を避ける→代替策」の順に)

あいまいな指示をすると、あいまいな回答しか得られません。逆に、上記を押さえると現場ですぐ使える文章が出てくるようになります。



おわりに

AIは「うまく指示すれば即戦力になるツール」です。特に、相互作用の説明や服薬指導、薬歴記録など、薬剤師が日々繰り返す業務に組み込むと、効果を実感しやすいでしょう。

最初はテンプレートをそのまま使い、慣れてきたら自分の薬局や業務に合わせてプロンプトをカスタマイズしていくのがおすすめです。


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