病院や薬局で「ジェネリック医薬品に変更できます」と言われたとき、不安を感じる患者さんは少なくありません。
「先発医薬品(オリジナルの薬)と本当に同じように効くの?」「安いのはなぜ?」といった疑問を持つ方も多く、薬剤師として正しく説明し、納得してもらうことが重要です。
本記事では、ジェネリック医薬品に対する誤解を解き、患者さんが安心して選べるようにするための説明のポイントを紹介します。
1. ジェネリック医薬品とは? 基本の説明ポイント

ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(最初に開発された薬)の特許が切れた後に、他の製薬会社が同じ有効成分を使って製造する薬のことです。
① 先発医薬品との違いと共通点
- 共通点:
- 有効成分(薬として働く成分)は同じです。
- 効能・効果も基本的に変わりません。
- 厚生労働省が定める品質基準をクリアしているため、安全性も保証されています。
- 違い:
- 添加物や製造方法が異なることがある(これにより、形や色、味が変わることがあります)。
- 見た目が異なる(特許の関係で、先発医薬品と同じ形や色にはできないため)。
② 価格が安い理由
「安いから効き目が落ちるのでは?」と不安に思う患者さんもいますが、ジェネリック医薬品が安い理由は、研究開発費がかからないためです。
先発医薬品は、新しい薬を開発するのに多くの時間と費用がかかりますが、ジェネリック医薬品は既存の有効成分を使うため、研究費が抑えられます。その結果、価格が安く設定できるのです。
③ 国の厳しい基準をクリアしている
ジェネリック医薬品は、厚生労働省が定めた**「生物学的同等性試験」**をクリアしないと販売できません。
この試験では、体内での薬の吸収や血中濃度が先発医薬品と同等であることを確認します。
つまり、国の基準を満たしているジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じように作用すると考えて問題ありません。
2. 患者さんの不安を解消する説明の工夫

ジェネリック医薬品に対する不安を持つ患者さんには、わかりやすく納得しやすい説明が必要です。
① 「効き目が違うのでは?」への対応
説明例:
「ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使っていて、国の基準も満たしています。実際に使った多くの方が、問題なく同じようにお薬を使えていますので、ご安心ください。」
→ 「実際に多くの人が使っている」ことを伝えると、安心感が増します。
② 「副作用が増えるのでは?」という疑問への説明
添加物が違うことで、まれに体質に合わないケースはありますが、基本的には先発医薬品と同じように使えます。
説明例:
「成分の働きは同じなので、副作用のリスクも基本的には変わりません。ただし、添加物が違うため、まれに合わないこともあります。もし体調に変化があれば、すぐにご相談ください。」
→ 「何かあればすぐ相談できる」ことを伝えると、患者さんも安心しやすくなります。
③ 「なぜ見た目が違うの?」への回答
説明例:
「特許の関係で、ジェネリック医薬品は形や色を変えて作る必要があります。でも、中身の成分は同じなので、効果に違いはありません。」
→ 「製造しているメーカーの違いであり、薬の効果とは関係ない」ことを説明すると、誤解を防げます。
3. 患者さんに納得してもらうための伝え方

説明するときの話し方や態度も、患者さんの納得度に影響します。
① 共感の姿勢を持つ
「初めてお薬が変わると、不安になりますよね。」
このように患者さんの気持ちに寄り添うことで、安心してもらいやすくなります。
② 難しい専門用語を避ける
「生物学的同等性試験」など専門用語をそのまま使うのではなく、**「国の厳しい基準をクリアしています」**とシンプルに伝えると理解しやすくなります。
③ 患者さんの選択を尊重する
「ジェネリックにするかどうかはご自身で選べます。」と伝え、無理に勧めないことも大切です。
4. 具体的な説明例(ロールプレイ)

① 初めてジェネリックを勧めるケース
患者:「ジェネリックって何ですか?」
薬剤師:「ジェネリックは、元のお薬と同じ成分を使ったお薬です。効き目は変わらず、価格が安くなるので、経済的な負担を減らせますよ。」
② 変更に不安を感じている患者さんへの対応
患者:「安いと効き目が落ちるんじゃない?」
薬剤師:「お薬の成分は同じで、国の基準をクリアしているので、先発医薬品と同じように使えますよ。」
③ 過去にジェネリックで問題があった患者さんへの説明
患者:「前にジェネリックを飲んだら合わなかったんです…。」
薬剤師:「そうでしたか。それでは、今回のお薬は先発医薬品のままにしましょう。また、合うジェネリックがあるか確認することもできますよ。」
→ 患者さんの体験を尊重しながら、無理に変更を勧めないことが大切です。
5. まとめ

- ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、国の厳しい基準をクリアしている。
- 価格が安いのは研究開発費がかからないためであり、品質が劣るわけではない。
- 患者さんの疑問には、共感しながらわかりやすく説明することが大切。
- 最終的な選択は患者さん自身に委ねることで、納得感を高められる。
薬剤師の説明次第で、患者さんの不安を和らげることができます。ぜひ、今回紹介したポイントを活用してみてください。
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