ロトリガとエパデールの違い|成分・用法・使い分けを薬剤師向けに解説

医薬品等解説
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高トリグリセライド血症の患者さんに処方されることが多い「ロトリガ」と「エパデール」。

どちらも魚油由来の成分を含み、トリグリセライドを低下させる薬ですが、成分や服用回数、適応には違いがあります。

薬局では、次のような疑問を持つこともあるのではないでしょうか。

「ロトリガとエパデールは、何を基準に使い分けているのか」

「EPAとDHAの違いは、服薬指導でどこまで説明すればよいのか」

「どちらも“血液をサラサラにする薬”と説明してよいのか」

この記事では、ロトリガとエパデールの違いを、若手薬剤師が実務で押さえておきたいポイントに絞って解説します。

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ロトリガとエパデールの違いを一覧で比較

まずは、両剤の主な違いを確認しておきましょう。

項目エパデールロトリガ
一般名イコサペント酸エチルオメガ-3脂肪酸エチル
主な成分EPAEPA+DHA
主な適応高脂血症高脂血症
その他の適応一部の製剤は閉塞性動脈硬化症に伴う症状なし
通常の服用回数1日2~3回1日1回
服用時点食直後食直後
特徴EPAのみを含むEPAとDHAを含む
注意したい点出血、心房細動・心房粗動など出血、LDLコレステロール上昇、心房細動・心房粗動など

最もわかりやすい違いは、エパデールはEPAのみ、ロトリガはEPAとDHAの両方を含むことです。

また、通常用量ではロトリガが1日1回であるのに対し、従来のエパデール製剤は1日2~3回服用します。

ただし、エパデールには1日1回投与の「エパデールEM」もあります。製品名だけで判断せず、剤形と用法まで確認することが大切です。

エパデールはEPAだけを含む薬

エパデールの有効成分は、イコサペント酸エチルです。

イコサペント酸はEPAとも呼ばれるオメガ-3脂肪酸の一種で、肝臓におけるトリグリセライドの合成や分泌を抑えることなどにより、血中トリグリセライドを低下させます。

エパデールの適応

エパデールの主な適応は高脂血症です。

さらに、エパデールカプセルやエパデールSなどの従来製剤には、次の適応もあります。

・閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍
・閉塞性動脈硬化症に伴う疼痛
・閉塞性動脈硬化症に伴う冷感

一方、1日1回投与のエパデールEMは高脂血症に使用する製剤であり、従来製剤とは適応や用法が異なります。

エパデールからエパデールEMへ変更された場合は、単純な剤形変更と思い込まず、処方目的と用法を確認しましょう。

エパデールの用法

高脂血症に対する従来製剤の一般的な用法は、次のいずれかです。

・1回900mgを1日2回
・1回600mgを1日3回

いずれも食直後に服用します。

エパデールEMは、通常1回2gを1日1回、食直後に服用します。トリグリセライド高値の程度によっては増量される場合があります。

製剤によって1回量や服用回数が異なるため、銘柄変更時には患者さんの理解度も確認しておきたいところです。

ロトリガはEPAとDHAを含む薬

ロトリガの有効成分は、オメガ-3脂肪酸エチルです。

1包2g中には、主として次の成分が含まれています。

・イコサペント酸エチル
・ドコサヘキサエン酸エチル

つまり、ロトリガはEPAとDHAの両方を含む製剤です。

適応は高脂血症で、通常は1回2gを1日1回、食直後に服用します。トリグリセライド高値の程度によっては、1回2gを1日2回まで増量されることがあります。

1日1回で服用できるため、服用回数を減らしたい患者さんではメリットになり得ます。

ただし、薬の選択は服用回数だけで決まるものではありません。脂質の状態や併用薬、治療目的などを踏まえて選択されます。

脂質への影響はどのように違う?

エパデールとロトリガは、どちらも主にトリグリセライドを低下させる薬です。

ただし、ロトリガではトリグリセライドが著しく高い患者さんに投与した場合、LDLコレステロールが上昇することがあります。

これは「ロトリガを服用すると必ずLDLコレステロールが上がる」という意味ではありません。しかし、治療開始後はトリグリセライドだけでなく、LDLコレステロールの推移も確認する必要があります。

薬局で検査値を確認できる場合は、次のような視点を持つとよいでしょう。

・トリグリセライドは下がっているか
・LDLコレステロールが上昇していないか
・スタチンなどの脂質異常症治療薬を併用しているか
・食事や飲酒量に変化がないか

処方薬だけを見るのではなく、脂質全体の動きを捉えることが大切です。

心血管イベント抑制効果は同じではない

EPA製剤については、心血管イベントを評価した複数の大規模臨床試験があります。

日本で行われたJELIS試験では、スタチン治療にEPA 1.8gを追加した群で、主要冠動脈イベントが減少しました。

海外のREDUCE-IT試験でも、高用量のイコサペント酸エチルをスタチン治療へ追加することで、心血管イベントの減少が示されています。

一方、EPAとDHAを含む製剤を用いたSTRENGTH試験では、心血管イベントを減少させる効果は示されませんでした。

ただし、ここで注意したいのは、海外試験で使用された製剤・用量と、日本国内で処方されるエパデールやロトリガが完全に同じではないことです。

そのため、

「エパデールなら必ず心筋梗塞を予防できる」

「ロトリガには心血管イベントを防ぐ効果がない」

と単純に言い切ることはできません。

臨床試験の結果は、成分だけでなく、使用された製剤や用量、対象患者、併用治療まで含めて解釈する必要があります。

出血だけでなく心房細動にも注意する

エパデールとロトリガは、出血している患者さんには禁忌です。

また、抗凝固薬や抗血小板薬を使用している患者さんでは、出血傾向が強まる可能性があります。

服薬指導では、次のような症状がないか確認しましょう。

・鼻血が止まりにくい
・歯ぐきから出血しやすい
・あざが増えた
・血尿や黒い便が出た
・傷からの出血が止まりにくい

ただし、「血液をサラサラにする薬」とだけ説明すると、抗凝固薬や抗血小板薬と同じ薬だと誤解される可能性があります。

「中性脂肪を下げる薬ですが、血小板の働きにも影響するため、出血しやすくなることがあります」と説明すると、薬の目的と注意点を分けて伝えられます。

さらに、2024年11月の添付文書改訂により、イコサペント酸エチルおよびオメガ-3脂肪酸エチルでは、心房細動・心房粗動が重大な副作用として注意喚起されました。

動悸、息切れ、胸部不快感、脈の乱れなどが現れた場合は、医療機関へ相談するよう伝える必要があります。

どちらも食直後に服用する

エパデールとロトリガは、どちらも食直後に服用します。

食事の影響を受ける薬であり、空腹時の服用では十分な効果が得られない可能性があります。

「食後」とだけ説明すると、食事から時間が経ってから服用する患者さんもいるため、服薬指導では「食事が終わったら、なるべくすぐに服用してください」と具体的に伝えましょう。

また、粒状カプセルは口の中でかむと、油のような味やにおいを感じることがあります。かまずに水またはぬるま湯で服用するよう説明します。

飲み忘れた場合は、2回分をまとめて服用せず、次の服用時点に1回分を服用するのが基本です。

薬局で確認したいチェックポイント

ロトリガやエパデールが処方されたときは、次の項目を確認すると、より実務的な服薬指導につながります。

1.処方目的

高トリグリセライド血症に対する処方なのか、閉塞性動脈硬化症に伴う症状への処方なのかを確認します。

特にエパデールは、製剤によって適応が異なります。

2.服用回数の変更

エパデールからロトリガ、または従来のエパデールからエパデールEMへ変更された場合は、服用回数が変わることがあります。

以前の用法のまま服用しないよう、変更点を具体的に説明しましょう。

3.抗凝固薬・抗血小板薬の併用

ワルファリン、直接作用型経口抗凝固薬、アスピリン、クロピドグレルなどの使用状況を確認します。

併用自体が直ちに問題になるわけではありませんが、出血症状には注意が必要です。

4.脂質検査の推移

ロトリガでは、トリグリセライドだけでなくLDLコレステロールの変化にも注目します。

治療効果が不十分な場合には、服薬状況に加えて、食生活や飲酒の影響も確認しましょう。

5.動悸や脈の乱れ

心房細動・心房粗動への注意が追加されています。

動悸や息切れ、脈の乱れを感じていないか、患者さんの訴えを拾うことも薬剤師の役割です。

患者さんへの説明例

エパデールの場合は、次のように説明できます。

「魚の油に含まれるEPAという成分を使って、中性脂肪を下げる薬です。食事のすぐ後に飲むことで効果が得られやすくなります」

ロトリガの場合は、次のような説明が考えられます。

「EPAとDHAという2種類の成分を含み、中性脂肪を下げる薬です。通常は1日1回、食事のすぐ後に服用します」

出血について説明するときは、必要以上に不安を与えないことも大切です。

「出血が必ず起こるわけではありませんが、鼻血が止まりにくい、あざが急に増えた、便が黒くなったといった変化があれば相談してください」

心房細動については、次のように伝えられます。

「まれですが、脈が乱れたり動悸が起きたりすることがあります。急に脈がおかしいと感じたときや、息苦しさが続くときは医療機関へ相談してください」

ロトリガとエパデールの違いまとめ

エパデールとロトリガは、どちらもトリグリセライドを低下させるオメガ-3脂肪酸製剤ですが、同じ薬ではありません。

エパデールはEPAのみを含み、従来製剤には高脂血症だけでなく、閉塞性動脈硬化症に伴う症状への適応があります。

ロトリガはEPAとDHAを含み、通常は1日1回で服用できることが特徴です。一方、トリグリセライドが著しく高い患者さんでは、LDLコレステロールが上昇する可能性があります。

薬剤師が押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

・エパデールはEPA、ロトリガはEPAとDHAを含む
・製剤によって適応や服用回数が異なる
・どちらも食直後に服用する
・抗凝固薬や抗血小板薬との併用時は出血に注意する
・ロトリガではLDLコレステロールの推移も確認する
・心房細動や心房粗動を疑う症状にも注意する

「中性脂肪を下げる薬です」と説明するだけで終わらず、服用方法や併用薬、検査値、副作用まで確認することで、薬剤師として一歩踏み込んだ支援ができます。

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参考文献

1.独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
「エパデールS300/S600/S900 添付文書・医薬品情報」

PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内

2.独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
「エパデールカプセル300 添付文書・医薬品情報」

PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内

3.独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
「エパデールEMカプセル2g 添付文書・医薬品情報」

PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内

4.独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
「ロトリガ粒状カプセル2g 添付文書・医薬品情報」

PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内

5.日本動脈硬化学会
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」


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