デュピルマブはどんな薬?
デュピルマブ(商品名:デュピクセント)は、アトピー性皮膚炎や喘息などの治療に使われる注射のお薬です。
これまでの治療では効果が足りなかった人にとって、新しい選択肢となる注目の薬です。体の中の“かゆみ”や“炎症”の原因物質をピンポイントでブロックする働きがあります。
アレルギーの原因をブロック!デュピルマブの働き
アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギーの病気では、「Th2サイトカイン」という物質が体の中で増えすぎてしまうことが原因のひとつです。
このTh2サイトカインの中でも、「IL-4」や「IL-13」という物質は、皮膚の赤み、かゆみ、炎症、気道の腫れなどに関わっています。
デュピルマブは、これらの物質の働きをストップさせることで、症状をやわらげる薬です。イメージとしては、「スイッチの前に立って、勝手にONにならないようにブロックしている」ような感じです。
デュピルマブが使われる病気と特徴
対象となる病気(2025年現在)
- アトピー性皮膚炎(中等症~重症)
- 気管支喘息(特に好酸球という白血球が増えているタイプ)
- 鼻茸(はなたけ)を伴う慢性副鼻腔炎(鼻がつまる、においがしないなどの症状)
薬の使い方
- 最初は2本(600mg)注射します。
- その後は、2週間ごとに1本(300mg)を注射します。
- 自己注射ができるタイプもあり、家で打つことも可能です。
よくある副作用
- 注射をしたところが赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。
- 結膜炎(目が赤くなる)や軽い感染症(ヘルペスなど)が出る人もいます。
- 重い副作用は少ないですが、定期的な診察でチェックしてもらうことが大切です。
いつまで続けるの?デュピルマブの治療期間
「この薬はいつまで続けるの?」という疑問は多いです。
アトピー性皮膚炎の場合、日本の厚生労働省が出しているガイドラインでは、
「症状が落ち着いてきたら、6か月ぐらいを目安にやめるかどうかを相談しましょう」
とされています。
参考URL
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/iryo_hoken/yakka/000291363.pdf
ただし、人によって再発しやすさは違います。医師と相談しながら、自分に合った治療のペースを見つけることが大切です。
まとめ:デュピルマブはこれからのアレルギー治療のカギになる薬
デュピルマブ(デュピクセント)は、アトピー性皮膚炎や喘息など、つらい症状で悩んでいる方に新しい希望をもたらす薬です。
副作用がまったくないわけではありませんが、今までの薬でうまくいかなかった方には、検討する価値があります。
薬剤師としても、患者さんが安心して使えるように、使い方や副作用の説明をていねいに行うことが大切です。
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