更新日:2026年10月15日|薬剤師向け・5分で整理
「初めて利用する患者さんでも、オンライン服薬指導はできる?」「通信が途切れたら、電話だけで続けてよい?」。導入時に迷いやすいのは、システムの操作よりも、実施できる条件と中止する判断です。
オンライン服薬指導は、患者さんの希望を踏まえ、薬剤師がその都度、安全に実施できるか判断する仕組みです。初回だから一律に不可ではありません。一方、映像・音声による確認が不十分な場合には、対面へ切り替える必要があります。
この記事では、厚生労働省の実施要領などを基に、薬局で確認する順番を整理します。将来の普及率を予測するのではなく、目の前の患者さんに適した方法を選ぶための実務を扱います。
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オンライン服薬指導とは?電話相談との違い
オンライン服薬指導は、スマートフォンなどを使い、映像と音声で互いの状態を確認しながら行う服薬指導です。医師のオンライン診療とは別の仕組みで、対面診療後の処方でも利用できます。[1・2・4]
| 方法 | 確認の特徴 | 実務での注意点 |
|---|---|---|
| 対面での服薬指導 | 同じ場所で薬や手技を直接確認する | 患者背景に応じて説明・確認方法を調整する |
| オンライン服薬指導 | 映像と音声を使って説明・確認する | 患者情報、通信環境、薬の受取方法まで確認する |
| 電話での相談・フォロー | 音声で服薬状況などを確認する | 通常のオンライン服薬指導と同じ扱いにはしない |
コロナ禍の時限的・特例的な取扱いに関する事務連絡は、2024年4月に廃止されています。電話だけでよかった過去の対応と、現在のオンライン服薬指導を混同しないことが大切です。[1]
初回でも可能?実施可否は患者ごとに判断する
実施要領は、当該薬局で服薬指導をしたことがない患者さんや、処方内容が変わった患者さんについても、服薬状況などを把握した上で実施することを示しています。「初回は必ず対面」「いつもの薬なら確認不要」という一律の運用は避けます。[2]
お薬手帳、他薬局からの情報、処方医の診療情報、患者さんからの聞き取りを組み合わせ、不足する情報を補います。本人確認は患者側だけでなく薬剤師側も行うことが原則です。具体的な方法や例外は実施要領を確認してください。[2]
薬剤師が確認するPOINT
- 何の治療で、どの薬が新規・変更になったか
- 併用薬、市販薬、サプリメント、副作用歴・アレルギー歴
- 薬の飲み方、飲み忘れ、残薬と次に薬が必要になる日
- 説明を理解できるか、必要な手技を画面で確認できるか
- 通信環境、プライバシー、対面へ切り替える場合の対応先
上の項目は、実施要領を踏まえた実務上の確認例です。チェックが埋まることだけを目的にせず、患者さんが薬を適切に使えるかを判断します。
対面へ切り替えるのはどんなとき?
注射薬や吸入薬では、医師による指導状況と患者さんの理解度を踏まえ、オンラインで十分に確認できるかを検討します。薬の種類だけで一律に決めず、実際の操作や理解を見ます。[2]
| 迷いやすい場面 | 確認・対応の例 |
|---|---|
| 吸入器の操作が画面に映らない | 撮影位置を調整し、確認できなければ対面での指導を調整する |
| 音声や映像が途切れる | 再接続を試し、必要な確認ができない場合は中止して代替方法を案内する |
| 説明後も用法を確認できない | 本人の言葉で説明してもらい、必要に応じて家族等の支援や対面対応を検討する |
| 併用薬など重要な情報が不明 | 手帳や医療機関への確認で情報を補い、判断できる状態を整える |
これらは実務上の対応例です。接続できたことを理由に指導を完了させず、対面へ切り替える可能性を最初に伝えておくと、患者さんも次の行動を取りやすくなります。
吸入器の違いと確認する手技は、DPIとpMDIの違い|変更時の吸入指導・吸気力・同調で整理しています。
処方箋の受付から薬の受け取りまでの流れ
1.処方箋情報の受取方法を医療機関と確認する
紙の処方箋を用いる通知上の取扱いでは、患者さんの同意を得て医療機関から希望する薬局へ処方箋情報を送付し、原本も医療機関から薬局へ送付します。薬局は原本を入手し、送付された情報とともに保管します。患者さんが送った写真だけで、原本の取扱いまで完了したと考えないようにします。[4]
電子処方せんでは原本を電子的に扱いますが、対応施設での受付や必要な情報の伝達は必要です。電子処方せんを選んだだけで、希望する薬局へ自動的に薬が手配されるわけではありません。[6]
2.服薬指導と配送の予定をすり合わせる
予約時には、薬が手元に何日分あるか、いつから服用が必要かを確認します。例えば「残薬は今夜の分だけ、到着予定は明後日」という場合、通常配送の案内だけでは服薬が途切れます。受取方法の変更など、必要な対応を検討する場面です。
この例は説明用の想定場面です。早急に必要な薬や温度管理が必要な薬では、薬剤の性質に応じた配送方法を選びます。配送費や支払方法、到着予定、届かない場合の連絡先も事前にすり合わせておきます。[5]
3.届いたことを確認し、必要なフォローにつなげる
薬を発送した時点で対応を終えず、患者さんに確実に授与されたことを確認します。受領確認には電話のほか、配達記録やアプリなども利用できます。予定日を過ぎても受領を確認できない場合の対応も決めておきます。[5]
服薬開始後は、必要に応じて飲み方や副作用、使いにくさを確認し、処方医と情報共有します。[2]
継続処方の管理を整理したい方は、リフィル処方箋の仕組み・対象外医薬品・薬局での対応も参考にしてください。リフィル処方箋とオンライン服薬指導は別の制度です。
薬局で定着させるために決めたい運用
オンライン服薬指導は、来局の負担を減らす選択肢になります。ただし、通話時間だけで業務量を見積もると、予約調整、処方箋確認、梱包、受領確認が通常業務に重なります。導入時には、誰がどこまで担当するかを決めておく必要があります。
- 予約受付、患者情報の事前確認、指導、配送、受領確認の担当
- 接続できない場合と、対面へ切り替える場合の連絡手順
- 画面や音声が第三者に伝わらない環境と、端末の管理方法
- 実施可否の判断、説明内容、配送方法、フォロー内容の記録
これは導入時の運用提案です。薬局内の動線と人員に合わせ、少数の事例から困った点を見直していくと具体的な改善につながります。
オンライン対応なら、薬剤師は自宅で働ける?
薬局外からの実施は、単に端末があれば可能になるわけではありません。実施要領のQ&Aでは、薬局の開局時間帯で、薬局内に1名以上の薬剤師が調剤に従事し、薬局外の薬剤師と相互に連絡できる状況が必要とされています。[3]
求人を見る際も「オンライン対応」の一言だけで在宅勤務ができると判断せず、勤務場所、薬局内の配置、配送業務の担当、研修内容を確認しましょう。
業務分担や責任の整理については、管理薬剤師になって思うこと|責任・しんどさ・成長もあわせてご覧ください。
まとめ|実施の判断から受領確認までを一つの流れにする
オンライン服薬指導は、初回か再来かだけで判断せず、必要な情報がそろい、患者さんに適切な指導ができるかを確認して選びます。通信や理解度に課題がある場合は対面への切替を調整し、配送する場合は薬が必要な日に間に合うか、確実に受け取れたかまで確認しましょう。
導入前には、「実施可否」「指導の確認方法」「配送・受領」「対面への切替」の4点を薬局内で共有しておくと、対応をそろえやすくなります。
参考文献・一次資料
情報確認日:2026年10月15日。本記事は実施体制と実務上の判断を整理したものです。調剤報酬の個別点数・算定要件は扱っていません。算定時は最新の告示・通知・疑義解釈を別途確認してください。


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