養命酒の事業がツムラに売却される――
このニュースを見て、多くの薬剤師が「えっ?」と思ったのではないでしょうか。
養命酒は“養命酒製造”という独立した企業が持つ、独自の健康酒ブランドというイメージが非常に強い製品です。
一方、ツムラは医療用漢方のトップメーカー。
つまり今回の出来事は、単なる事業売却ではなく
OTC健康食品ブランドが“医療用漢方メーカーの領域”へ入る
という構造変化を意味します。
この記事では、この動きによって養命酒がどう変わるのかを、薬剤師視点で考察します。
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① 養命酒はこれまで「漢方っぽい健康酒」だった

まず、養命酒の立ち位置を整理しておきましょう。
養命酒は医薬品ではなく「第2類医薬品の薬用酒」に分類されます。
しかし消費者の認識は少し特殊です。
・漢方に近い
・体質改善
・冷え・虚弱体質
・高齢者向け
・長く飲むもの
つまり、一般の風邪薬や胃薬とは違い
“生活に溶け込む養生薬”というブランドを築いてきました。
これは他のOTCにはない強みです。
ただし弱点もありました。
- 医療との接点が薄い
- エビデンス発信が弱い
- 若年層に届かない
- 「なんとなく効きそう」で止まる
この「曖昧さ」がブランドの魅力でもあり、限界でもありました。
② ツムラが取得することで起こる最も大きな変化 ― “医学化”

ツムラは医療用漢方の最大手です。
つまり今回の売却は、単なる販路拡大ではありません。
養命酒が“医学寄りの商品”へ再定義される可能性が高い
ここが最大のポイントです。
予想される変化は以下です。
エビデンスの付与
ツムラは臨床研究を強く重視する企業です。
今後、養命酒は
- フレイル
- 食欲低下
- 冷え症
- 睡眠
- 軽度抑うつ
- 自律神経症状
といった領域で研究対象になる可能性があります。
つまり
「なんとなく効く」から「作用機序を語れる商品」へ変化する
可能性が高いです。
医療との接続
ツムラが関わると、医療機関との距離が一気に縮まります。
考えられる動き:
- 医師向け情報提供
- フレイル外来との連携
- 地域包括ケアでの提案
- 在宅医療での使用検討
養命酒はこれまで「患者が勝手に飲む商品」でした。
今後は
医療従事者が介入するOTCに変わる可能性があります。
漢方との棲み分けの再設計
現在、虚弱体質の相談では
- 補中益気湯
- 十全大補湯
- 人参養栄湯
などが使われます。
しかし患者は「漢方は難しい」と感じやすい。
そこで養命酒が
**“入口の漢方”**として使われる可能性があります。
つまり
養命酒 → 漢方薬 → 医療
という階段構造が成立します。
これはツムラにとって非常に理にかなった戦略です。
③ ブランドは弱まるのか?むしろ逆の可能性

買収というとブランド消滅を心配する声もあります。
しかし今回は逆でしょう。
養命酒の価値は「伝統」です。
ツムラの価値は「医療」です。
この2つは競合ではなく補完関係です。
したがって予想される方向性は
- 昔ながらのイメージは維持
- 中身の説明は医学化
- 使用シーンは医療寄りに拡張
つまり
“雰囲気商品 → 根拠のある養生薬”
へ進化する可能性が高いです。
④ OTC現場に起こる変化 ― 相談販売が増える

このニュースが最も影響するのはドラッグストア・薬局です。
養命酒はこれまで
「置いてあるから買う商品」
でした。
しかし今後は
「提案されて買う商品」
になる可能性があります。
具体的には
- フレイル予防
- 食欲低下
- 夜間頻尿による不眠
- 冷えによる不調
- 軽い抑うつ
このような“グレーゾーン症状”の相談時に
提案できるカードが増えることになります。
つまり薬剤師の役割は
レジ対応 → 生活介入
へ少しずつ変わっていきます。
まとめ ― 養命酒は「OTCの漢方化」の象徴になるかもしれない

今回の売却は単なる企業再編ではありません。
・OTCと医療の境界が曖昧になる
・体質改善領域が広がる
・相談販売の重要性が増す
つまり
OTCの役割そのものが変わるサイン
とも考えられます。
養命酒は
「なんとなく体に良いもの」から
「医療と生活をつなぐ薬」へ
変わっていく可能性があります。
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今回のニュースのように、OTCはこれから
単なる物販ではなく“相談医療”の領域へ近づいていきます。
- 患者と長く関わりたい
- 生活背景まで踏み込んだ提案がしたい
- 漢方・セルフケアに関わりたい
そう思う方にとって、OTC現場は非常にやりがいのある分野です。
ただし、求人は地域差が大きく、
ネット検索だけでは見つからない募集も多いのが現実です。
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