はじめに:なぜ「薬歴が書けない」が問題なのか?

薬剤師の業務の中でも、特に多くの人が悩むのが「薬歴記入」。
「時間がなくて書けない」「何を書けばいいかわからない」「上司に見られるのが怖い」などの声は、現場でも頻繁に耳にします。
しかし、薬歴は単なる記録ではありません。
患者の服薬状況を把握し、継続的なケアを実現するための“医療の一部”です。質の高い薬歴は、患者のQOL向上やチーム医療の推進にもつながります。
本記事では、薬歴が苦手な薬剤師が少しでも前向きに書けるよう、構成の基本から時短の工夫、内容の質を高めるコツまでを具体的に解説します。
1. 薬歴が書けない原因を整理しよう

まずは「なぜ薬歴が書けないのか」を客観的に整理してみましょう。
よくある原因
- 時間が足りない:調剤・服薬指導・在庫管理などの業務に追われ、薬歴を書く時間が後回しに
- 何を書けばいいか分からない:指導した内容がまとまらず、何を記録すべきか迷う
- 薬学的判断に自信がない:評価や計画の記載に不安があり、記入が遅くなる
- 職場の指導が曖昧:先輩によって基準がバラバラで、どう書けばよいか混乱する
まずはこのような原因を自覚することが、改善の第一歩です。
2. 薬歴に書くべき基本要素を理解する

「何を書けばいいかわからない」という悩みを解決するために、まずは基本の構成「SOAP方式」を理解しましょう。
SOAPの構成
- S(Subjective:主観的情報)
患者さんの訴え、不安、感情など。
例:「眠気がひどくて仕事に集中できません」 - O(Objective:客観的情報)
処方薬の内容、副作用、検査値、バイタルなど。
例:ロラタジン10mg、1日1回朝食後。眠気の副作用あり。 - A(Assessment:評価)
薬剤師の視点での評価・仮説。
例:抗ヒスタミン薬による眠気の可能性が高い - P(Plan:計画)
対応策や今後の方針。
例:医師に非鎮静系への変更を提案予定。患者へ副作用の説明済み。
このように「型」がわかると、迷わず記載できるようになります。
3. すぐ使える!薬歴記入の時短テクニック

「薬歴を書くのに時間がかかる…」という方に向けて、すぐ実践できる時短術をご紹介します。
実践的なテクニック
- テンプレートを用意する
「眠気への説明」や「併用薬の注意」など、よくある指導内容は定型文を準備。
→ 例:「副作用として眠気が出ることがありますので、車の運転にご注意ください」 - 患者の発言をメモしておく
指導中に印象的な言葉をスマホやメモ帳に記録→そのままSとして使える。 - 評価は“ひとこと”で済ませる
無理に長文を書こうとせず、薬剤師としての気づきを1文にまとめる。
→ 例:「自己判断での増量をしており、今後の副作用に注意が必要」 - 時間を決めて書く
「1件5分」など時間を区切ると集中力が上がり、ムダが減る。 - 音声入力も活用(可能な職場であれば)
音声でざっくり記録→後から整理というスタイルも効率的。
4. 質の高い薬歴に変わる書き方のコツ

薬歴は「書けばOK」ではなく、「伝わるか」が重要です。以下のポイントを意識することで、薬歴の質がぐっと向上します。
書き方のポイント
- 医師や他職種にも伝わる言葉で書く
→ 専門用語を使いすぎず、平易な日本語を意識 - 患者の“変化”にフォーカスする
→ 症状の改善・悪化、生活習慣の変化などを記録 - 評価は“薬剤師ならでは”の視点を入れる
→ 例:「症状に対して処方薬が適切に機能していない可能性あり」 - 簡潔さを意識する
→ 冗長にならないよう、1件100〜150字を目安に - 時系列で追いやすい構成を意識する
→ 前回とのつながりを意識すると、継続的なケアが見えてくる
5. それでも不安なときにやるべきこと
完璧な薬歴を書こうとすると、余計に筆が進まなくなります。苦手意識を克服するために、以下を実践してみましょう。
メンタルとスキル両面の対策
- 先輩薬剤師の薬歴を参考にする
→ 実際の記載例を見て学ぶことで、構成や言葉遣いがわかる - 店舗で「薬歴お手本集」を作る
→ よくあるケースの記載例を共有すれば、全体の底上げに - 書けない自分を責めすぎない
→ 誰でも最初は悩むもの。成長のプロセスと割り切る - チームでフィードバックし合う文化をつくる
→ 1人で抱え込まず、職場でのサポート体制を活用
まとめ:薬歴は“記録”ではなく“ケア”の一部

薬歴は「ただ書くもの」ではなく、「患者を支えるケアの一部」。
型を覚え、時短テクを活かし、薬剤師としての評価を一言でも加えることができれば、それは“良い薬歴”です。
苦手意識を持っている方も、まずは1つのテクニックから取り入れてみてください。
少しずつでいいんです。薬歴を書くたびに、あなたの実務力は確実に高まっています。
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