フィブラート系薬の違いと使い分け|ペマフィブラート・フェノフィブラート・ベザフィブラートを比較

医薬品等解説
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「中性脂肪が高いからフィブラートが処方された」

ここまではわかっていても、

  • ペマフィブラートとフェノフィブラートは何が違う?
  • スタチンと併用して大丈夫?
  • 腎機能が悪い患者ではどう考える?
  • 処方監査では何を確認すればいい?

と聞かれると、少し迷うことはありませんか?

フィブラート系薬は、主にトリグリセライド(中性脂肪)を低下させる薬です。

一方で、薬剤によって用法や腎機能障害時の扱い、相互作用などに違いがあります。

この記事では、新人・若手薬剤師向けに、フィブラート系薬の作用機序から、

  • ペマフィブラート(パルモディア)
  • フェノフィブラート(リピディル・トライコア)
  • ベザフィブラート(ベザトールSR)

の違い、処方監査・服薬指導のポイントまでわかりやすく解説します。

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フィブラート系薬は「中性脂肪を下げるのが得意」

脂質異常症の治療薬というと、まずスタチンを思い浮かべる方が多いと思います。

ただし、スタチンとフィブラートでは得意分野が少し違います。

スタチンはLDLコレステロール低下が中心、フィブラート系薬はトリグリセライド低下が中心

と考えると整理しやすくなります。

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」でも、フィブラート系薬や選択的PPARαモジュレーターは、高トリグリセライド血症に用いられる薬剤として位置づけられています。

ただし、

「中性脂肪が高い=とりあえずフィブラート」

というわけではありません。

食事、飲酒、肥満、糖尿病などの背景を確認したうえで治療を考える必要があります。

フィブラート系薬はどうやって中性脂肪を下げる?

フィブラート系薬を理解するときに出てくるのが、**PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)**です。

名前は難しいですが、

「脂質代謝に関係する遺伝子のスイッチ」

くらいのイメージから入るとわかりやすいと思います。

フィブラート系薬がPPARαに作用すると、

  • 脂肪酸のβ酸化が促進される
  • トリグリセライドの合成が抑えられる
  • リポ蛋白リパーゼの働きが高まる
  • アポリポ蛋白C-IIIが減少する
  • トリグリセライドに富むリポ蛋白の代謝が促進される

などの作用につながります。

その結果、血中のトリグリセライドが低下します。

新人薬剤師がまず押さえておきたいのは、

フィブラートは「LDLを下げる薬」というより「TGを下げる薬」

という点です。

フィブラート系薬3剤を比較

現在の実務で特に押さえておきたいのは、次の3成分です。

一般名代表的な商品名特徴用法のイメージ
ペマフィブラートパルモディア・パルモディアXR選択的PPARαモジュレーター通常錠は1日2回、XRは1日1回
フェノフィブラートリピディル・トライコア従来型フィブラートの代表1日1回
ベザフィブラートベザトールSR腎機能への注意が重要通常1日2回

3剤ともトリグリセライドを下げる薬ですが、**「腎機能」「用法」「相互作用」**を見ると違いがわかりやすくなります。

ペマフィブラート(パルモディア・パルモディアXR)

ペマフィブラート(パルモディア)は、従来のフィブラートよりもPPARαへの選択性を高めた**選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)**です。

現在は、

  • パルモディア錠0.1mg
  • パルモディアXR錠0.2mg
  • パルモディアXR錠0.4mg

があります。

パルモディアXRは1日1回投与できるため、服薬回数を減らせるのが特徴です。

ペマフィブラートは腎機能低下時の扱いがポイント

ここは従来型フィブラートとの違いとして押さえておきたいポイントです。

パルモディアXRでは、eGFRが30mL/min/1.73m²未満だからといって、一律に禁忌になるわけではありません。

ただし、高度腎機能障害患者では横紋筋融解症などに注意する必要があり、投与の適否を慎重に判断します。

投与する場合、パルモディアXRでは0.2mgを1日1回とされています。

「フィブラート=腎機能が悪ければ全部同じ扱い」

と覚えないことが大切です。

ペマフィブラートは相互作用にも注意

ペマフィブラートでは、処方監査時に併用薬も確認します。

特に、

シクロスポリン、リファンピシンは併用禁忌

です。

また、

  • クロピドグレル
  • クラリスロマイシン
  • リトナビルなど
  • フルコナゾール
  • カルバマゼピン
  • フェニトイン
  • フェノバルビタール

などとの相互作用にも注意します。

パルモディアを見たら、

「腎機能+併用薬」

をセットで見るクセをつけておくと、処方監査で役立ちます。

フェノフィブラート(リピディル・トライコア)

フェノフィブラートは、従来から使用されている代表的なフィブラート系薬です。

代表的な商品名には、

  • リピディル錠53.3mg・80mg
  • トライコア錠53.3mg・80mg

があります。

リピディルとトライコアはどちらも有効成分はフェノフィブラートです。

そのため、商品名が違っても、

「リピディル=フェノフィブラート」
「トライコア=フェノフィブラート」

と一般名まで結びつけて覚えておくと処方監査がしやすくなります。

フェノフィブラートでは腎機能を確認

フェノフィブラートの処方を見たら、特に意識したいのが腎機能と筋障害です。

フィブラート系薬では横紋筋融解症が重大な副作用として知られており、腎機能が低下している患者では注意が必要です。

処方監査では、

  • 腎機能
  • 筋肉痛
  • 脱力感
  • CK
  • 横紋筋融解症の既往
  • スタチンの併用

などを確認します。

「リピディルやトライコアが出ている」

だけで終わらず、

「この患者さんの腎機能は大丈夫か?」

まで見ることが大切です。

ベザフィブラート(ベザトールSR)

ベザフィブラートも古くから使用されているフィブラート系薬です。

代表的な商品名はベザトールSR錠100mg・200mgです。

後発医薬品では、「ベザフィブラート徐放錠」として複数の製品があります。

ベザフィブラートは腎機能低下時に血中濃度が上昇する可能性があるため、処方監査では腎機能を特に意識します。

高齢者では、

「高齢だから注意する」

だけではなく、

血清クレアチニンやeGFRを実際に確認する

ことが大切です。

3剤の違いは「腎機能」で見るとわかりやすい

フィブラート系薬を覚えるとき、

作用機序の細かい違いから入ると混乱しやすいと思います。

実務ではまず、

「腎機能が悪いときにどう違う?」

という視点で整理すると使いやすくなります。

特に、

  • ペマフィブラート(パルモディア)
  • フェノフィブラート(リピディル・トライコア)
  • ベザフィブラート(ベザトールSR)

を全部同じ感覚で扱わないことが重要です。

添付文書上の腎機能障害時の扱いや用量が異なるため、患者ごとに確認しましょう。

スタチンとフィブラートは併用できない?

新人の頃、

「スタチンとフィブラートって併用禁忌では?」

と迷ったことがある方もいるかもしれません。

現在は、スタチンとフィブラートの併用そのものが一律に禁止されているわけではありません。

一方で、どちらも筋障害に注意が必要な薬剤です。

併用している場合は、

  • 筋肉痛
  • 脱力感
  • CK上昇
  • 腎機能
  • 褐色尿

などを意識します。

処方を見たときには、

「なぜスタチンだけではなくフィブラートも入っているのか」

まで考えてみると、処方意図が見えやすくなります。

たとえば、

  • LDLコレステロールはある程度管理できている
  • それでもトリグリセライドが高い
  • HDLコレステロールが低い

といった背景があれば、フィブラート追加の意図を考えやすくなります。

ペマフィブラートで心血管イベントは減る?

ペマフィブラート(パルモディア)は新しいタイプの薬なので、

「従来型フィブラートより優れていて、心筋梗塞や脳梗塞も減らせるのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、ここは分けて考える必要があります。

PROMINENT試験では、2型糖尿病、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症を有する患者を対象にペマフィブラートが検討されました。

ペマフィブラートによってトリグリセライドは低下しましたが、心血管イベントの有意な減少は示されませんでした。

つまり、

「TGを下げること」と「心血管イベントを減らすこと」は同じではない

という点は覚えておきたいところです。

薬剤師としても、検査値が改善したことだけで薬の価値を判断しないようにしたいですね。

高トリグリセライド血症では急性膵炎にも注意

トリグリセライドが著しく上昇すると、動脈硬化だけでなく急性膵炎も問題になります。

特に高度の高トリグリセライド血症では、急性膵炎のリスクを考える必要があります。

ただし、

「TGが高い=すぐフィブラート」

と単純に考えるのではありません。

まず、

  • アルコール
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 食生活
  • 薬剤
  • 原発性脂質異常症

など、トリグリセライドが上昇している原因も確認します。

薬局で検査値を見ることができる場合は、TGの数字だけでなく、患者背景まで確認できるとよりよいでしょう。

フィブラート系薬で注意する副作用

フィブラート系薬で、薬剤師が特に押さえておきたい副作用を3つ紹介します。

1.横紋筋融解症

最も重要なのが横紋筋融解症です。

患者さんから、

「最近、足が痛い」

「力が入りにくい」

「今までにない筋肉痛がある」

といった訴えがあれば注意します。

さらに、

「尿の色が赤褐色になっていないか」

も確認したいポイントです。

スタチンを併用している患者や腎機能が低下している患者では、特に意識して確認します。

2.肝機能障害

フィブラート系薬では肝機能への影響にも注意します。

ASTやALTなどの検査値を定期的に確認します。

ペマフィブラート(パルモディア)についても、投与中は肝機能検査を行うことが添付文書に記載されています。

3.胆石・胆道系疾患

フィブラート系薬では胆石にも注意が必要です。

特にペマフィブラート(パルモディア)では、胆石のある患者は禁忌です。

既往歴を確認するとともに、

  • 右上腹部痛
  • 吐き気
  • 嘔吐

などの症状があれば、胆石や胆道系疾患も考えます。

フィブラート系薬の処方を見たら確認したい5項目

実務では、薬の作用機序をすべて思い出すよりも、

「この薬を見たら何を確認するか」

を決めておく方が役立ちます。

フィブラート系薬では、次の5項目を確認してみてください。

① なぜ処方されている?

まずトリグリセライド値を確認します。

可能であれば、

  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール
  • non-HDLコレステロール

も見てみましょう。

検査値が確認できれば、

「なぜスタチンではなくフィブラートなのか」

「なぜフィブラートが追加されたのか」

という処方意図が見えやすくなります。

② 腎機能は?

フィブラート系薬が処方されていたら、

eGFRや血清クレアチニンを確認する

習慣をつけておくとよいでしょう。

特にフェノフィブラート(リピディル・トライコア)やベザフィブラート(ベザトールSR)では重要です。

ペマフィブラート(パルモディア)でも、高度腎機能障害患者では横紋筋融解症などに注意が必要です。

③ スタチンを併用していない?

ロスバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチンなどのスタチンが併用されていないか確認します。

併用しているから直ちに問題というわけではありませんが、筋障害への注意が必要です。

服薬指導では、

「いつもと違う筋肉痛や力が入りにくい感じはありませんか?」

と確認するとよいでしょう。

④ 相互作用する薬はない?

併用薬の確認も重要です。

特にペマフィブラート(パルモディア)では、

シクロスポリン・リファンピシンが併用禁忌

です。

お薬手帳や併用薬を確認する意味が大きいポイントです。

⑤ 胆石や肝機能障害はない?

胆石や肝機能障害の有無も確認します。

フィブラート系薬といっても、薬剤ごとに禁忌や注意事項は異なります。

「同じ系統の薬だから全部同じ」

ではなく、最終的には各薬剤の添付文書を確認しましょう。

服薬指導では何を伝える?

患者さんにPPARαやリポ蛋白リパーゼについて詳しく説明する必要はありません。

私は、

「中性脂肪を下げる薬です」

とシンプルに説明するのがわかりやすいと思います。

そのうえで、

「いつもと違う強い筋肉痛や、力が入りにくい感じがあれば教えてください」

と伝えておくとよいでしょう。

また、フィブラート系薬を飲んでいるからといって、食事や飲酒の影響がなくなるわけではありません。

高トリグリセライド血症では、

  • 過度な飲酒を控える
  • 糖質や脂質を摂りすぎない
  • 適正体重を意識する
  • 糖尿病があれば血糖管理を行う

などの生活習慣への対応も重要です。

「薬を飲めば大丈夫」ではなく、生活習慣と薬物療法をセットで考えることが大切です。

まとめ|フィブラートは「TG・腎機能・併用薬」で見る

フィブラート系薬は、主にトリグリセライドを低下させる脂質異常症治療薬です。

まずは、

スタチン=LDLコレステロール
フィブラート=トリグリセライド

と大まかに整理すると理解しやすくなります。

そのうえで、

  • ペマフィブラート(パルモディア)
  • フェノフィブラート(リピディル・トライコア)
  • ベザフィブラート(ベザトールSR)

の違いを押さえていきましょう。

薬剤師として特に覚えておきたいのは、

  • フィブラート系薬でも腎機能低下時の扱いは同じではない
  • 処方されたら腎機能を確認する
  • スタチン併用時は筋障害に注意する
  • ペマフィブラートでは相互作用も確認する
  • TGが下がることと心血管イベントが減ることは同じではない

という点です。

商品名だけを覚えるのではなく、

「この患者さんに、なぜこのフィブラートが選ばれているのか」

まで考えられるようになると、処方監査や服薬指導で一段使いやすい知識になります。

参考文献

  1. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
    https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/
  2. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版」
    https://www.j-athero.org/jp/publications/guideline/
  3. PMDA「パルモディアXR錠0.2mg/0.4mg 添付文書」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2183007G1020_1?user=1
  4. PMDA「パルモディア錠0.1mg 添付文書」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2183007F1025_1?user=1
  5. PMDA「リピディル錠53.3mg/80mg 添付文書」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2183006F3023_2?user=1
  6. PMDA「トライコア錠53.3mg/80mg 添付文書」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2183006F3031_3?user=1
  7. PMDA「ベザトールSR錠100mg/200mg 添付文書」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2183005G1234_1?user=1


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