薬剤師がわかりやすく解説|バイオシミラーとは?後発品との違い・今後の可能性まで解説

医薬品等解説

バイオシミラーとは何か?

「バイオシミラー」という言葉を耳にしたことはありますか? これは、バイオ医薬品の特許が切れた後に開発される“類似”の医薬品で、一般的なジェネリック医薬品(後発品)とは異なる特徴を持っています。

バイオ医薬品は、がんや自己免疫疾患などの治療に用いられる高価な薬剤が多く、医療費の増加が課題となっています。その中で、バイオシミラーは医療費の抑制や治療の選択肢拡大に貢献すると期待されています。

本記事では、バイオシミラーの基本から、ジェネリック医薬品との違い、メリット・課題、将来性までを、薬剤師の視点でわかりやすく解説します。


1. バイオ医薬品とバイオシミラーの基礎知識

バイオ医薬品とは?

バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術などを用いて生物由来の細胞から作られる医薬品です。 インスリンや抗体医薬品(リツキシマブ、トラスツズマブなど)が代表例で、がんや自己免疫疾患、希少疾患の治療に用いられます。

バイオシミラーとは?

バイオシミラーは、先行バイオ医薬品の特許が切れた後に開発される、品質・安全性・有効性が先行品と「極めて類似」した医薬品です。 ジェネリック医薬品と異なり、バイオ医薬品は生物由来であるため、製造過程で微細な差異が生じることがあります。そのため、バイオシミラーは「同一」ではなく「類似」とされ、厳格な品質管理と臨床試験が求められます。


2. ジェネリック医薬品との違い

項目ジェネリック医薬品(後発品)バイオシミラー
製造方法化学合成生物由来(細胞培養)
成分の同一性原則として先発品と同一先行品と極めて類似
臨床試験の必要性原則不要原則必要(PK/PD試験、臨床試験)
承認審査の厳格さ比較的簡便厳格な審査が必要

このように、バイオシミラーはジェネリック医薬品と比べて開発・承認に時間とコストがかかります。しかし、その分、医療現場での信頼性も高まっています。


3. バイオシミラーのメリットと導入状況

医療費の削減

バイオ医薬品は高額なものが多く、医療費の増加要因となっています。バイオシミラーの導入により、薬剤費の削減が期待されます。

厚生労働省の資料(令和5年度「バイオシミラーの使用促進に向けた取り組み」)によれば、バイオシミラーの価格は先行品の約70%程度に設定されています。たとえば、自己負担3割の患者の場合、リツキシマブBSの使用によって1回の投与で約2万円〜3万円の自己負担が軽減されるケースもあります(薬価ベース)。

治療の選択肢の拡大

バイオシミラーの登場により、患者にとって治療の選択肢が広がります。特に、がんや自己免疫疾患などの治療において、バイオシミラーは重要な役割を果たしています。経済的な理由で治療を諦めていた患者には、希望の光となりえます。

国内での導入状況

日本では、リツキシマブ、エタネルセプト、トラスツズマブなどのバイオシミラーが承認・販売されています。2020年時点でバイオシミラーの承認品目数は20品目を超えており、現在は30品目以上に拡大しています。

参考:https://www.pmda.go.jp/files/000274801.pdf

適応外の注意点

なお、バイオシミラーには、先行品と同様の効能・効果がすべて承認されていない場合があります。適応が未取得の疾患に対しては使用できないこともあるため、処方時には添付文書をよく確認する必要があります。


4. バイオシミラーの課題と将来性

課題

  • 医師や患者の理解不足:バイオシミラーに対する知識や理解が十分でない場合、使用が進まないことがあります。
  • 信頼性への懸念:「先行品と全く同じではない」という点から、効果や安全性に対する不安が生じることがあります。
  • 医療機関での切り替えの難しさ:既に先行品を使用している患者に対して、バイオシミラーへの切り替えが難しい場合があります。

将来性

政府はバイオシミラーの普及を推進しており、医療費の適正化や治療の選択肢拡大に貢献すると期待されています。薬剤師としても、バイオシミラーに関する知識を深め、患者や医師に適切な情報提供を行うことが求められます。


5. 薬剤師としての対応

バイオシミラーの普及に伴い、薬剤師には以下のような対応が求められます。

  • 情報提供:医師や患者に対して、バイオシミラーの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく説明する。
  • 知識のアップデート:新たなバイオシミラーの情報や関連するガイドラインを常に把握し、最新の知識を持つ。
  • 信頼関係の構築:患者や医療スタッフとの信頼関係を築き、バイオシミラーの使用に対する不安を解消する。

また、バイオ医薬品やバイオシミラーに関する専門知識を活かし、患者の不安を解消することにもつながります。

参考文献:バイオシミラーの基礎知識と 使用促進に向けた取り組み,厚生労働省

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