フェロミアとリオナの違いは?胃腸障害の発現率と服薬指導のポイント

医薬品等解説
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「フェロミアで吐き気が出た患者さんに、リオナは選択肢になる?」

経口鉄剤の服薬指導では、貧血の改善だけでなく、胃腸症状によって服用を続けにくくなっていないかを確認することが大切です。

クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア)とクエン酸第二鉄水和物(リオナ)の直接比較試験では、リオナ群で悪心・嘔吐の副作用発現率が低かった一方、下痢は両剤でみられました。[1]

この記事では、鉄欠乏性貧血の治療を中心に、比較データの読み方と薬局で確認したいポイントを整理します。

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フェロミアとリオナは、成分と適応が異なる

フェロミアの有効成分はクエン酸第一鉄ナトリウム、リオナはクエン酸第二鉄水和物です。どちらも鉄欠乏性貧血に用いられますが、リオナには慢性腎臓病患者の高リン血症を改善する適応もあります。[2,3]

確認項目 フェロミア リオナ
一般名 クエン酸第一鉄ナトリウム クエン酸第二鉄水和物
鉄の価数 二価鉄 三価鉄
適応 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血、慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
鉄欠乏性貧血での通常の成人用法・用量 鉄として1日100~200mgを1~2回に分けて食後 クエン酸第二鉄として1回500mgを1日1回食直後

フェロミアは年齢・症状により適宜増減、リオナは患者の状態に応じて適宜増減し、最高用量は1回500mgを1日2回までです。[2,3]

ここで注意したいのは、用量の「mg」が表すものです。フェロミアの上記用量は鉄量、リオナはクエン酸第二鉄としての量です。数字の大きさから鉄の投与量や効果を比較したり、同じ錠数で置き換えたりすることはできません。

関連:便秘・下痢の聞き取りを整理するときは、便秘薬の違いと使い分けも参考になります。

胃腸障害の発現率は?直接比較では悪心・嘔吐に違い

同じ試験の中で比較したデータを確認する

鉄欠乏性貧血患者を対象とした国内第Ⅲ相比較試験(GBB4-1)では、リオナ500mg/日、1,000mg/日と、クエン酸第一鉄ナトリウムの鉄として100mg/日を7週間投与しました。ランダム化二重盲検試験で、安全性解析対象は計517例です。[1]

主な胃腸症状の副作用発現率は、次のとおりでした。

副作用 クエン酸第一鉄ナトリウム群(171例) リオナ2用量の合算(346例)
悪心 49例(28.7%) 34例(9.8%)
嘔吐 21例(12.3%) 5例(1.4%)
下痢 30例(17.5%) 67例(19.4%)

出典:リオナ錠250mgインタビューフォーム「国内第Ⅲ相比較試験(GBB4-1)」。[1]

この試験では、リオナ群の悪心・嘔吐が少なかったことが読み取れます。一方、下痢は両群でみられており、「リオナなら胃腸障害全般が少ない」と広げて説明するのは適切ではありません。

数値の差を、そのまま全患者に当てはめない

この表は、特定の対象・用量・投与期間で得られた結果です。リオナは2つの用量群を合算しています。下痢の発現率の差についても、数値だけで統計学的な差があるとは判断できません。

また、表は薬剤との因果関係を否定できない「副作用」の集計です。服用中に生じた出来事を広く含む「有害事象」とは区別する必要があります。資料によって数字が異なる場合は、まず集計対象と定義を確かめましょう。

添付文書の頻度だけを横並びにしない

フェロミアの電子添文では悪心・嘔吐が「5%以上」、リオナでは下痢が「12.4%」と記載されています。[2,3]

ただし、これらを並べて「どちらの胃腸障害が多いか」を判断することはできません。対象患者や用量、投与期間、集計した試験が異なるためです。リオナのインタビューフォームでは、高リン血症と鉄欠乏性貧血の試験を併合した集計も示されています。[1]

両剤の違いを説明する際は、まず同じ条件で比較した試験を使い、電子添文は各薬剤で注意すべき副作用を確認するために活用すると整理しやすくなります。

服薬指導では「どの症状で困っているか」を聞く

「胃がつらい」を具体的な症状に分ける

患者さんの「胃に合わない」という言葉だけでは、吐き気なのか、腹痛なのか、下痢なのかが分かりません。聞き取りでは、例えば次のように確認できます。

「気持ち悪さと、お腹の痛み、便の変化では、どれが一番気になりますか?」

「飲んでから、どのくらいで症状が出ますか?」

「つらくて飲めなかった日は、週に何日くらいありますか?」

症状、服用との時間関係、生活への影響、実際の服用状況が分かると、処方医へ具体的な情報を伝えやすくなります。

吐き気と下痢では、変更時の説明も変える

フェロミアで悪心・嘔吐が問題になっている場合は、比較試験の結果を踏まえ、リオナへの変更を処方医と検討する余地があります。ただし、変更後に症状が必ずなくなるとは説明できません。

一方、下痢で困っている患者さんでは、リオナへの変更だけで改善すると見込まず、便の回数・性状や併用薬、症状の経過も整理することが大切です。

処方医への情報提供例としては、「服用後に吐き気が出現し、直近1週間で3回服用できていません。服用継続が難しいため、薬剤・用量等の見直しをご検討いただけますか」のように、継続への影響まで添えると伝わりやすくなります。

薬剤変更時は、飲み方と検査値も確認する

フェロミアは食後、リオナは食直後が承認用法です。リオナは高リン血症と鉄欠乏性貧血で用量が異なるため、処方目的も確認します。[2,3]

両剤とも、レボチロキシンや一部の抗菌薬などとの相互作用に注意が必要です。変更時には服用時刻を含めて併用薬を再確認し、必要な間隔はそれぞれの電子添文に沿って判断します。[2,3]

また、胃腸症状が少なく服用できていても、それだけで治療を評価することはできません。フェロミアでは適宜血液検査を行い、リオナの鉄欠乏性貧血治療ではヘモグロビン値や血清フェリチン値等を確認して、鉄過剰に注意します。[2,3]

服用タイミングの説明は、食前・食後・食間の違いと指導のポイントで詳しく整理しています。

まとめ|「胃にやさしい」より、症状別に説明しよう

フェロミアとリオナの直接比較では、リオナ群で悪心・嘔吐の副作用発現率が低かった一方、下痢は両群でみられました。

服薬指導では「こちらの方が胃にやさしい」と一括りにせず、何の症状が服用を妨げているのかを確認しましょう。そのうえで、比較データと患者さんの服用状況をつなげて処方医へ伝えることが、継続できる治療の検討につながります。

実務の学びと、これからの働き方

服薬指導や処方提案を続けながら、自分が学びやすい環境について考えることもあるかもしれません。働き方に迷ったときは、管理薬剤師になって思うこと|責任・しんどさ・成長もご覧ください。

働き方の選択肢として正社員・派遣を比較したい薬剤師の方へ、転職支援サービスを紹介します。

参考文献

  1. リオナ錠250mg インタビューフォーム(2026年7月改訂、第18版)。V.5 国内第Ⅲ相比較試験(GBB4-1)、VIII.8 副作用。 https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00007734.pdf
  2. フェロミア錠50mg/フェロミア顆粒8.3% 電子添文。PMDA掲載版(2025年2月更新)。 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530258_3222013D1059_3_03
  3. リオナ錠250mg 電子添文(2026年7月改訂、第5版)。 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/340018_2190033F1022_2_03

情報確認日:2026年10月15日

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