転職後の薬剤師が気をつけたい4つの言葉|職場と患者さんへの伝え方

薬剤師の働き方
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転職したばかりの薬局では、わからないことがあって当然です。薬の置き場所も、調剤の手順も、患者さんとの関係も、一から覚え直さなければなりません。

ただ、その戸惑いをどのような言葉で伝えるかによって、相手の受け止め方は変わります。

「前の職場ではこうだった!」
「入ってきたばかりでわかりません」
「聞いてません」
「私は出していません」

私自身の経験や、転職して同僚になった方とのやり取りのなかで、こうした言葉に引っかかったり、患者さんのクレームにつながる場面を見たりしたことがあります。

悪気がなくても、相手には「今の職場を否定された」「対応を断られた」と聞こえることがあります。今回は、私が転職後のコミュニケーションで気をつけたいと感じる4つの言葉と、その言い換えをまとめます。

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まず整理したいのは、言葉よりも「その先の対応」

最初にお伝えしたいのは、わからないことや、自分が担当していない事実まで隠す必要はないということです。

無理に知っているふりをしたり、自分の判断だけで対応したりする方が、薬局では問題になりかねません。

私が気になるのは、事情の説明だけで会話が終わってしまうことです。

「わかりません」で終わるのか。「わかりませんので、確認します」まで伝えるのか。同じ状況でも、相手が次の対応を待てるかどうかは変わると思います。

気をつけたい言葉 言い換えの例
前の職場ではこうだった! こちらの手順を教えていただけますか。以前の方法も、必要であれば共有したいです
入ってきたばかりでわかりません 私ではすぐにお答えできないため、確認してご案内します
聞いてません 私のところではまだ把握できていないので、記録や担当者に確認します
私は出していません 前回は別の者が担当していますので、記録を確認して対応します

言い換えは、実際の行動とセットです。「確認します」と伝えたら、誰に何を確認するのかを決め、患者さんや同僚へ結果を返すところまで意識したいものです。

①「前の職場ではこうだった!」は、伝える順番で印象が変わる

経験の共有が、今の職場への否定に聞こえることもある

転職すると、前の職場との違いが目につきます。「以前のやり方なら、もっと早くできるのに」と感じることもあるでしょう。

過去の経験は、転職してきた薬剤師の強みです。業務改善につながる提案まで控える必要はありません。

ただ、今の職場の事情を知らない段階で「前の職場ではこうだった!」と強く伝えると、相手には「こちらのやり方は間違っている」と聞こえることがあります。

患者さんの特徴、スタッフの人数、設備、これまでに起きたトラブルなど、その手順になった理由があるかもしれません。

先に理由を聞いてから、自分の経験を提案する

まずは、次のように聞いてみると話を始めやすくなります。

「こちらでは、この手順にしている理由を教えていただけますか?」

そのうえで、役立ちそうな経験があれば提案します。

「以前の職場では別の方法を使っていました。こちらでも負担を減らせそうなので、一度相談してもよいでしょうか」

「前の職場では」という言葉そのものが悪いわけではありません。今のやり方への理解を示してから伝えることで、比較への反発ではなく、改善に向けた話し合いにつなげやすくなると思います。

ただし、安全上の疑問がある場合は、慣れるまで黙っておく必要はありません。「この手順で取り違えが起きないか気になっています。一緒に確認できますか」と、具体的な懸念を伝えることが大切です。

② 患者さんへの「入ってきたばかりでわかりません」は、その先を添える

患者さんが知りたいのは、誰がどう対応してくれるか

「入ってきたばかりでわかりません」は、本人にとっては正直な説明です。患者さんとの過去のやり取りを知らないこともあるでしょう。

しかし、そこで話が止まると、患者さんには「では、誰に聞けばいいの?」「このまま対応してもらえないの?」という不安が残ります。

患者さんの目の前にいるのは、その薬局のスタッフです。入職して間もないという事情だけでは、困りごとの解決につながりません。

「確認してご案内します」まで伝える

例えば、次のような言い方ができます。

「これまでの経緯を確認してからご案内します。少々お待ちいただけますか」

「私ではすぐに判断できないため、担当の薬剤師に確認します」

入職したばかりであることを伝える必要がある場面では、「こちらに来て日が浅いため、これまでの対応を確認いたします」と、その後の行動まで添えるとよいと思います。

時間がかかる場合は、患者さんを待たせたままにせず、途中で状況をお伝えします。自分で答えられなくても、答えられる人につなぐことはできます。

③「聞いてません」は、情報の確認につなげる

事実でも、責任の押しつけに聞こえることがある

申し送りが届いていなかったり、患者さんから初めて聞く話だったりすると、「聞いてません」と言いたくなることがあります。

本当に聞いていないのであれば、その事実は共有する必要があります。ただ、その一言だけでは「伝えていないあなたが悪い」「自分には関係がない」という意味に受け取られることがあります。

患者さんに「前に説明した」と言われたときも、すぐに「聞いてません」と返すと、言った・言わないの話に進んでしまいます。

「まだ把握できていないので確認します」と伝える

患者さんには、例えば次のように伝えます。

「以前にもお伝えいただいていたのですね。内容を確認しますので、どのようなお話だったか、もう一度伺ってもよろしいでしょうか」

同僚に対しては、次のような伝え方ができます。

「その件は、私のところではまだ把握できていません。申し送りの場所を一緒に確認してもらえますか」

これは、自分の落ち度だと認めるための言い換えではありません。まず必要な情報をそろえ、目の前の対応を進めるための言葉です。

その後で、情報が共有されなかった理由を確認します。口頭だけだったのか、記録の場所がわかりにくかったのか。繰り返すようであれば、個人の注意に任せず、申し送りの仕組みを見直す必要があります。

④「私は出していません」は、事実確認と対応を分けて考える

自分が担当していなくても、相談の窓口にはなれる

患者さんから、前回受け取った薬について相談された場面を考えてみます。

自分が調剤や交付を担当していなければ、「私は出していません」と言いたくなるかもしれません。自分がしていないことまで、自分の責任だと思われたくない気持ちも理解できます。

ただ、それだけを伝えられた患者さんには、「この人には対応してもらえない」と聞こえる可能性があります。

誰が担当したかという事実と、今その相談を受けてどう動くかは、分けて考えたいところです。

担当者を明確にしながら、記録の確認につなぐ

例えば、次のように伝えます。

「前回は別の薬剤師が担当しています。まず、お困りの内容を伺って記録を確認します」

「私だけでは経緯がわからないため、担当者と責任者に確認してご説明します」

この段階で、原因や過失を決めつける必要はありません。記録を確認する前に「こちらの間違いです」と断定したり、別のスタッフの責任だと言ったりすることも避けたいものです。

薬の間違いや体調への影響が疑われる相談では、言い方を整えるだけで終わらせず、患者さんの状況を確認し、責任者など必要な相手に速やかにつなぐことが大切です。

「自分が担当したかどうか」を正確に伝えながら、「今の相談をどう引き継ぐか」まで示す。その両方を意識したいと思います。

受け入れる職場にも、聞きやすい環境をつくる役割がある

ここまで転職した側の言葉を取り上げましたが、受け入れる側にもできることがあります。

質問するたびに嫌な顔をされたり、「経験者なのに、そんなこともわからないの?」と言われたりすれば、わからないことを聞きにくくなります。

経験者でも、その薬局では初めて働く人です。薬剤師としての経験と、その職場独自の手順を知っていることは別です。

困ったときに誰へ聞けばよいのか、申し送りはどこを見るのか、患者さんから相談されたら誰へつなぐのか。そうした基本を最初に共有しておくことが、転職してきた人の安心にも、薬局全体の対応にもつながると考えます。

新しいスタッフに言葉遣いの改善を求めるなら、確認や引き継ぎができる環境も、一緒に整えていきたいものです。

私自身が職場の人間関係や周囲への頼り方について学んだ経験は、管理薬剤師になって思うことでも書いています。新しい環境で余裕をなくしている方には、新人薬剤師が一番つらかった話も読んでいただければと思います。

まとめ|事情の説明に、次の行動をひと言添える

転職したばかりの時期に、すべてを理解して対応するのは難しいものです。経験がある薬剤師でも、その点は変わりません。

私が気をつけたいと思うのは、事情を説明したところで会話を終えないことです。

「わかりません」に「確認します」を添える。「聞いてません」に「記録を確認します」を添える。「私は出していません」に「担当者につなぎます」を添える。

前の職場の経験を話すときは、今の職場の理由にも耳を傾ける。

少しの違いですが、相手が「この人と話を進められる」と感じるきっかけになると思います。私自身も、忙しいときほど返答が短くなっていないか、振り返っていきたいです。

言い方だけで抱え込まず、働く環境も振り返る

伝え方を工夫することは大切ですが、質問する相手がいない、相談しても対応してもらえないといった問題まで、一人で解決しようとする必要はありません。まずは上司や会社に、困っている場面を具体的に伝えてみてください。

これからの働き方を整理したい方は、薬剤師の働き方に迷ったら|年間休日・管理薬剤師・個別指導の経験談から考えるも参考にしてください。

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今後の選択肢として別の職場も検討する場合は、給与や休日だけでなく、入職後の教育体制、質問・相談先、薬剤師の配置についても確認しておきたいところです。転職支援サービスを利用する場合も、こうした希望や確認したい点を具体的に伝えてみてください。

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執筆:廣瀬安國(管理薬剤師・薬剤師ライター)

※本記事は、筆者が経験・見聞きした職場でのやり取りをもとに、伝え方を考察したものです。会話例は説明用に作成しており、特定の職員や患者さんの発言を再現したものではありません。

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