「2025年問題で、薬局の仕事はどこまで変わるのだろう」「在宅やフォローアップが増えているのに、人員は足りない」。そんな疑問や負担を感じている薬剤師に向けて、人口高齢化と薬局の役割、職場で確認したい体制を整理します。
先に結論をいうと、2025年は高齢化の節目であり、その年だけで薬局の仕事や経営が一斉に変わるわけではありません。大切なのは、患者さんの服薬・生活上の課題を継続して支えることと、その仕事を無理なく担える体制があるかを分けて考えることです。
情報確認日:2026年10月7日。本記事には広告を含みます。
2025年問題とは?薬局への影響は地域によって異なる
2025年問題は、団塊の世代(1947~1949年生まれ)がすべて75歳以上になる時期を迎え、医療・介護の需要や支える体制が課題になることを指します。2026年になったから解消した、という意味ではありません。
内閣府の令和8年版高齢社会白書では、2025年10月1日時点の75歳以上人口は2,127万人、総人口の17.3%とされています。ただし、全国の人口構成から、個々の薬局の処方箋枚数や在宅患者数が必ず増えるとはいえません。地域の人口動態、医療機関の診療体制、患者さんの療養場所によって影響は異なります。[1]
薬局で考えたいのは「高齢の患者さんが増えるから忙しくなる」で終わらせず、来局の難しさ、薬の管理、家族の支援など、どの課題への対応が必要なのかを見ることです。年齢だけで服薬管理能力を決めつけないことも大切です。
高齢化を踏まえて、薬局で確認したい3つのこと
1.薬の数だけでなく、実際に使えているか
複数の医療機関を受診している患者さんでは、処方内容と実際の服用が一致しているかを確認します。他院の薬、一般用医薬品、サプリメントも含めて把握し、重複や相互作用、服用の負担を検討します。
薬が多いことだけを理由に減薬を勧めるのではなく、治療上の必要性や患者さんの困りごとを見ることが出発点です。残薬があれば、量だけでなく「なぜ残ったのか」を確かめます。
2.来局できるか、誰が薬を管理しているか
薬を取りに来た家族がいても、実際に毎日の服薬を支援できているとは限りません。本人が管理しているのか、家族や介護職が関わっているのかを確認すると、支援の不足や負担を見つけやすくなります。
来局が難しくなった場合には、患者さんの希望や状態に応じて、医師やケアマネジャーなどと在宅での薬学的管理の必要性を相談します。「高齢だから在宅」と一律に判断するのではなく、療養環境と支援の必要性から考えます。
3.調剤後の変化を、必要な相手に共有できるか
薬の変更後に困りごとがないか、飲み忘れや残薬が続いていないかなど、次回来局までに確認する必要がある患者さんを見極めます。連絡方法と時期を決め、確認結果を記録し、必要に応じて処方医や関係職種に共有します。
厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」は、服薬情報の継続的な把握、在宅への対応、医療機関等との連携を示しています。これらは2025年を境に突然始まった役割ではなく、以前から求められてきた機能です。[2]
2026年度調剤報酬改定は、人口高齢化と分けて確認する
人口高齢化は患者さんの背景に関わる変化、調剤報酬改定は薬局の業務を評価する制度の変更です。両者は関係しますが、「2025年問題でこの加算ができた」と単純に結びつけると、制度の理解が曖昧になります。
| 2026年度改定の例 | 現場で考えたいこと |
|---|---|
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算への見直し | 地域への医薬品提供を支える体制を、日々の運用に落とし込む |
| かかりつけ薬剤師の評価体系の見直し | フォローアップや訪問等の実務を、対象・実施内容・記録と結びつける |
| 在宅医療に関する評価の見直し | 訪問と外来を両立できる人員・引継ぎ・連携を整える |
| 残薬対策に関する見直し | 残薬量と理由を把握し、処方医への確認や調整後の管理につなげる |
厚生労働省の令和8年7月1日版の概要資料では、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止と、フォローアップや訪問などの実務に対する評価への転換が示されています。算定の可否は業務を行ったことだけでは決まらず、各項目の要件や施設基準等の確認が必要です。[3] [4]
制度上評価されることと、現場で無理なく実施できることは別です。新しい業務を始める際には、担当者、実施時間、記録方法、不在時の代替体制まで確認したいところです。
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供給不安や人手不足を、2025年問題だけで説明しない
医薬品の供給不安は、薬局で負担になり得る課題ですが、人口高齢化だけが原因ではありません。厚生労働省の供給状況報告でも、限定出荷は自社の事情、他社品の影響などに区分されています。[5]
人手不足も、地域の採用状況や離職、勤務時間、人員配置、業務分担などを分けて見たい問題です。「時代の流れだから仕方がない」と受け止めるだけでは、職場で改善できる点が見えにくくなります。
たとえば欠品対応なら、在庫照会や入荷情報の共有を誰が担当するか、処方変更の相談をどう引き継ぐかを決める余地があります。在宅訪問が増えたなら、訪問中の外来対応や急な処方変更に備える必要があります。
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服薬指導で使える聞き取りと、記録のポイント
以下は、患者さんの生活に沿って話を聞くための例です。すべてを毎回聞くのではなく、その患者さんの課題に合わせて使います。
| 確認したいこと | 現場で使える聞き方の例 |
|---|---|
| 飲み忘れの場面 | 「朝・昼・夜のうち、飲みにくい時間はありますか?」 |
| 残薬の背景 | 「余っているのは、どのお薬ですか?飲みにくさや気になる症状はありましたか?」 |
| 管理する人 | 「お薬は、ご自身で準備されていますか?どなたか手伝ってくれていますか?」 |
| 複数の薬の把握 | 「ほかの病院のお薬や、市販薬・サプリで使っているものはありますか?」 |
| 変更後の状況 | 「お薬が変わってから、体調や飲み方で困ったことはありませんか?」 |
記録は「指導した」で終わらせず、患者さんが話した事実、薬剤師の評価、行った対応、次回の確認事項をつなげます。たとえば「昼の服用を忘れやすい」という事実があれば、生活時間を確認したうえで、服用方法の相談が必要かを判断します。
用法や薬剤の変更が必要なら処方医と相談し、変更後も飲めているかを確認します。薬を減らすことや一包化をすること自体をゴールにせず、患者さんが治療を続けやすくなったかまで見ることが大切です。
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働き続けられる薬局かを確認する5つの質問
以下は、公的な薬局評価基準ではなく、やすべるが職場の体制を確認するために整理した観点です。在宅件数や設備の数だけで働きやすさを判断せず、実際にどう回しているかを聞きます。
| 確認する項目 | 上司・見学先に聞きたい質問 |
|---|---|
| 外来と在宅の人員 | 「訪問中の外来対応は誰が担いますか?欠勤時はどう調整しますか?」 |
| 記録と連絡の時間 | 「薬歴やフォローアップを行う時間は、勤務中にどう確保していますか?」 |
| 夜間・休日の対応 | 「当番、連絡先、引継ぎ、勤務や手当の扱いはどう決めていますか?」 |
| 教育と相談 | 「在宅や処方提案が初めての職員は、誰に相談でき、どのように学べますか?」 |
| 改善の仕組み | 「業務が増えたとき、人員配置や役割分担を見直す場はありますか?」 |
電子薬歴や調剤機器があっても、運用や役割分担が整っていなければ、期待したほど時間を確保できないこともあります。調剤補助を活用する場合も、法令や通知に沿った業務範囲、手順、薬剤師の確認体制が前提です。
「在宅に力を入れている」「対人業務を重視している」という方針に加え、担当者が休んでも継続できる仕組みがあるかを確認すると、働き方を具体的に想像しやすくなります。
今の職場で、まず取り組めること
負担を感じているときは、1週間ほど、欠品対応・訪問・薬歴・電話連絡などにかかった時間を簡単に記録してみます。患者情報を持ち出さず、業務量と時間を整理すれば、上司との相談材料になります。
そのうえで「訪問日の応援を増やす」「電話対応の引継ぎを決める」など、改善したい点を一つ具体化します。担当者と見直す時期も決めておくと、相談だけで終わりにくくなります。
改善が難しい場合には、他の職場の体制を比較することも選択肢です。給与や通勤距離に加え、在宅の担当人数、時間外対応、薬歴の時間、教育体制を同じ項目で比べると、自分が重視する条件を整理できます。
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まとめ|役割の変化と、それを支える体制を一緒に見る
2025年問題を踏まえて薬局が考えたいのは、高齢の患者さんを一律に扱うことではなく、一人ひとりの薬の使い方や生活上の課題を把握することです。制度改定や供給不安、人手不足は、それぞれの根拠と職場の実情に沿って整理しましょう。
薬剤師の専門性を発揮するには、知識の更新とともに、確認・記録・連携に使える時間が必要です。まずは患者さんへの聞き取りを一つ見直し、職場では負担を具体的に共有するところから始めてみてください。
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[1]内閣府「令和8年版高齢社会白書:高齢化の現状と将来像」
[3]厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)
[4]厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(通知・疑義解釈等)
参考文献確認日:2026年10月7日。制度の算定・届出に際しては、最新の告示・通知・疑義解釈をご確認ください。


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