薬剤師が知っておきたい!患者に「薬を飲みたくない」と言われたときの対応と説明力の磨き方

薬剤師の働き方

薬剤師として働いていると、患者さんから「この薬、飲みたくないんです」と言われることがあります。そんなとき、あなたはどう対応していますか?

ただ薬の説明をするだけではなく、患者さんの気持ちを汲み取りながら、納得してもらえるように話すスキルが求められます。今回は、「薬を飲みたくない」という声にどう向き合うか、そして薬剤師としての説明力をどう磨いていけばいいかを解説します。



患者が薬を拒否する理由を理解しよう

まず大切なのは、「なぜその薬を飲みたくないのか?」という理由をしっかり聞くことです。薬を拒否する理由は人によってさまざまです。副作用の不安、過去に嫌な思いをした、そもそも薬が必要だと思っていないなど、背景には必ず理由があります。

たとえば、「この薬を飲んだら気持ち悪くなったことがある」「ネットで副作用が怖いって読んだ」といった声を聞くことがあります。また、高齢の患者さんでは、「自分はもう良くなったから飲まなくていい」という判断で服薬を中止するケースもあります。

こうした声に対して、まずは頭ごなしに否定せず、「どうしてそう思われたんですか?」と丁寧に聞く姿勢が信頼につながります。



わかりやすく伝える「説明力」を身につけよう

患者さんにとって、薬の名前や作用機序の説明はあまり重要ではありません。大切なのは、「この薬を飲むことで、自分にどんなメリットがあるのか」が理解できるかどうかです。

そのためには、専門用語をなるべく使わず、やさしい言葉で伝えることがポイントです。たとえば、「この薬は血圧を安定させて、将来の脳梗塞のリスクを減らすお薬です」といったように、生活とのつながりを意識した説明が効果的です。

また、患者さんの不安が強い場合は、資料を見せたり、スマートフォンで簡単な情報を一緒に見たりするのも一つの方法です。「副作用が心配でしたら、別の薬に変更できるか医師と相談してみましょう」といった一言も、相手の安心感を大きく高めます。



それでも飲みたくないと言われたときの対応

丁寧に説明しても、どうしても服用に納得してもらえない場合もあります。そんなときは、無理に説得しようとするのではなく、「別の方法もあるかもしれません」と柔軟に対応することが大切です。

たとえば、認知機能の低下が見られる患者さんが「1日3回は難しい」と言った場合、「1日1回で済むお薬に変更できるか、医師と相談してみましょうか」と提案できます。実際に、眠気やふらつきが気になる方には、ベンゾジアゼピン系からベルソムラなどへ変更することで日中の活動性が改善した例もあります。

薬の変更や一時中止を医師に相談する際も、薬剤師が橋渡し役となることで、患者さんにとって安心できる流れを作ることができます。


薬剤師の説明力を磨くには?

患者さんとのやりとりを重ねていく中で、「うまく伝えられなかったな」と感じることがあるかもしれません。でも、そうした経験が、説明力を育ててくれます。

日々の業務で振り返りを行うことは非常に効果的です。たとえば、「この説明は納得してもらえなかったな」「この言い回しはわかりやすかったかも」といったことを、メモしておくだけでも次に活かせます。

また、同僚の対応を観察したり、定期的に薬局内で事例を共有する場を持ったりすることで、自分にはなかった視点や表現を学ぶことができます。さらに、eラーニングや研修会などで「伝える技術」について学ぶのもおすすめです。

説明力は生まれつきのセンスではなく、「意識して伸ばすことができるスキル」です。



自分の成長につながる職場を探すという選択肢も

「もっと患者さんと丁寧に向き合いたいのに、今の職場では時間が足りない」「対物業務に追われて、そのための機会がない」と感じたことはありませんか?

患者対応を重視している薬局や、教育体制がしっかり整っている職場であれば、日々の業務の中で自然と説明力を磨くことができます。とはいえ、自力でそうした職場を探すのはなかなか難しいものです。

そんなときには、薬剤師専門の転職エージェントを活用するのも一つの手です。キャリアの方向性や希望条件を伝えることで、自分に合った環境を提案してもらえるので、「どう選べばいいかわからない」という方にも安心です。

今の環境で悩んでいるなら、一度立ち止まって、「自分がどう働きたいのか」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。


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