調剤薬局で処方せんを持っていくと、お薬手帳の有無を聞かれたことはありませんか?
薬局に行くことが少ない人だとお薬手帳の必要性が低いと思われますが、お薬手帳には重要な役割があります。うまく活用することで安全にお薬を使うことも可能です。
今回は、お薬手帳の役割やメリットなどを解説します。
お薬手帳とは
お薬手帳は、医療機関で処方された医薬品の情報を記載する手帳のことです。いつ、どこの医療機関で、どんな内容の薬をもらったのかが記録されているのでお薬手帳からどのようなお薬を使っているのかが簡単にわかるようになっています。
お薬手帳が作られたきっかけとして「ソリブジン薬害事件」があります。ソリブジン事件は、1990年代に抗がん剤を服用していた患者さんが帯状疱疹を発症したため、別の病院で「ソリブジン」が使用されて患者さんが死亡した事件です。ソリブジンは帯状疱疹の特効薬でしたが、抗がん剤と併用することで重大な副作用が生じる医薬品です。しかし、当時はお薬手帳という複数の医療機関の処方薬を確認できるツールが存在せず、抗がん剤を服用していることを確認できなかったことがソリブジン事件を起こした原因と考えられています。ソリブジン事件を教訓としてお薬手帳の普及を目指すことになります。
お薬手帳のメリットは?
若い人は、お薬手帳に必要性を感じにくいかもしれませんが、さまざまなメリットが存在します。こちらでは、お薬手帳のメリットを解説します。
お薬の飲み合わせを確認してもらえる
医薬品は、一緒に飲むことで重大な健康障害を起こすものも存在します。また、医薬品の名称が異なっても成分は同じものが配合されている医薬品もあるので注意が必要です。複数の医療機関でお薬をもらっている場合や持病があって薬をもらっている状態で市販薬を購入する場合などは薬剤師にお薬手帳を確認してもらうことで薬を安全に使用できます。また、夜間、休日診療では、緊急的に医薬品を必要とすることがあり、服用中の医薬品や副作用歴が記載されているお薬手帳は重要な情報源です。
別の医療機関でも同じお薬をもらうことができる
旅行先や夜間、休日診療で急遽お薬をもらう必要があった場合には、お薬手帳が活躍します。国内旅行で持病の薬が必要になった場合には、現地の医療機関でお薬手帳を見せてから相談することで同じ医薬品を処方してもらうことも可能です。
災害時にも対応ができる
1995年に発生した阪神・淡路大震災では、多くの医療機関や薬局が被災しました。医療機関や薬局で保管されていた患者さんの医薬品情報も消失してしまい、患者さんが服用している医薬品がわからずに薬を新しく処方できないという事態が発生しました。災害時にもお薬手帳があれば服用している医薬品の情報が確認できるので、被災地でも処方薬をもらうことが可能です。
お薬代が安くなる
じつは、調剤薬局にお薬手帳を持参するとお薬代が安くなることがあります。初めて行く薬局や3ヶ月以上行っていない薬局では安くなりませんが、いつもいっている薬局であれば10〜40円ほど安くなります。お薬手帳を薬局の受付に渡すことで安くなる理由として、厚生労働省がお薬手帳の普及を目的としていることがあげられます。
お薬手帳忘れを防ぐためには?
普段、医療機関を受診しない人にとってお薬手帳は馴染みが薄いものです。持病があって定期的に医療機関を受診する人でもお薬手帳を忘れることもよくあることです。お薬手帳を忘れずに持っていくための対策法も紹介します。
自動車のダッシュボードに入れておく
自動車を使って医療機関を受診している場合には、ダッシュボードにお薬手帳を入れておくと薬局にも忘れずに持参できます。男性は、カバンを持つことが少ない傾向があるので忘れずに持っておこうと考えた場合にはダッシュボードに入れておくのが良いでしょう。
いつも使うカバンに入れる
いつも使っているカバンがあるのでしたら、お薬手帳をカバンに入れてみるのも良いでしょう。カバンに保険証や診察券なども入れておくと病院の診察もスムーズに受けることができます。
電子お薬手帳を活用する
現在では、スマートフォンは生活に必要なものとなりました。高齢者の中でもスマホを活用している方も多くいます。スマートフォンアプリとしてお薬手帳が開発されています。電子お薬手帳であれば、スマートフォンでお薬の飲み合わせを確認してもらうことが可能です。
まとめ
お薬手帳は、悲しい事件を教訓として作られたアイテムです。お薬手帳を活用することで医薬品を安全に使用できることが最大のメリットです。また、お薬手帳に病歴や副作用歴などを記載することで、緊急時にもスムーズに医療を受けられます。スマホアプリとして電子お薬手帳が存在しているので利便性も高くなっています。
お薬手帳を保険証や診察券と一緒に保管することで、診察も受けやすくなるのでお薬手帳を活用してみてください。
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