地方の薬剤師不足はなぜ起こる?第8次医療計画の偏在対策と職場選びの確認点

薬剤師の働き方
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更新基準日:2026年9月29日/対象:薬剤師・薬学生

「地方は薬剤師が足りない」と聞いても、全国どこでも同じ状況ではありません。病院と薬局でも事情は異なり、同じ県内で地域差があることもあります。

先に結論をいうと、第8次医療計画では、薬剤師の地域・業態による偏りを見える化し、都道府県が実情に応じて確保策を考えることが重要になっています。 ただし、制度ができたから個々の職場の人手不足がすぐ解消するわけではありません。働く側は、求人の人数だけでなく、休憩や教育、応援体制まで確認したいところです。

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「薬剤師不足」と「薬剤師の偏在」は分けて考える

薬剤師不足を全国一律の求人倍率だけで説明するのは適切ではありません。厚生労働省の「薬剤師確保計画ガイドライン」は、病院薬剤師、薬局薬剤師、地域を分けて偏在を捉えます。病院薬剤師は全国的な確保も課題とされる一方、薬局も地域によって事情が違います。

薬剤師偏在指標は、単純な人口当たりの人数ではなく、薬剤師の労働時間や推計される業務量などを踏まえて算出する指標です。都道府県や二次医療圏で、病院・薬局別、地域全体の状況を検討する材料になります。ただし、指標だけで一つの薬局の忙しさや欠員まで分かるわけではありません。

第8次医療計画で何が進められている?

2024年度からの第8次医療計画に向けて、厚生労働省は「薬剤師確保計画ガイドライン」を公表しました。都道府県が薬剤師偏在指標や地域の実情を踏まえ、確保の方針、目標、施策を計画するための資料です。

1.地域と業態ごとの課題を見える化する

「薬剤師が少ない地域」と一括りにせず、病院と薬局、都道府県と二次医療圏を分けて検討します。必要に応じて、市町村単位を原則とする「薬剤師少数スポット」を設ける考え方も示されています。政策上の区域区分と、応募先の薬局の職場環境は別に確認しましょう。

2.都道府県が実情に応じて確保策を組み立てる

計画は地域の医薬品提供体制を確保するためのもので、個々の薬局の欠員を必ず埋める制度ではありません。修学資金、地域での人材育成、勤務環境の改善など、実施する施策や条件は地域・年度によって異なります。特定の県なら学費が必ず免除される、補助金が自動的に出る、といった理解は避け、募集要項や自治体の現行計画を確認してください。

3.病院薬剤師の研修・出向を支える診療報酬もある

2024年度に新設された「薬剤業務向上加算」は、病棟業務の研修体制に加え、都道府県と連携して薬剤師を他の保険医療機関へ出向させる体制などを評価する、一定の施設基準を満たす保険医療機関向けの加算です。出向先の薬局にも加算される制度ではありません。算定を検討する場合は、該当年度の告示・通知・疑義解釈と届出要件を確認してください。

地方で働くなら、求人票のどこを見る?

地域医療に関われることと、無理なく働けることは両立させたいものです。面接や見学では、次を具体的に聞くと判断しやすくなります。

確認する点 聞き方の例
人員と応援体制 一人薬剤師になる時間帯、欠員や休暇時の応援は?
業務量 処方箋枚数だけでなく、在宅件数・施設対応・薬歴の時間は?
教育と相談 入職後の研修、監査や疑義照会を相談できる相手は?
勤務条件 休憩の取得状況、残業、休日の連絡・当番は?
支援制度 奨学金返還支援などの対象者、勤務期間、途中退職時の扱いは?

僕自身、管理薬剤師として人員や業務の偏りが現場の負担につながることを感じてきました。制度の話を読んで終わらせず、実際の勤務表や応援方法まで確かめることが、納得できる選択につながると思います。

勤務条件の比較には、年間休日105日から125日になった薬剤師の実体験も参考にしてください。管理業務を任される可能性があるなら、薬剤師2年目で管理薬剤師になって感じた責任と働き方もあわせてどうぞ。奨学金支援を条件に考える方には、奨学金1000万円を借りた薬剤師の返済と働き方で、返済と職場選びの関係を詳しく書いています。

まとめ:制度の数字と、現場の働きやすさを両方見る

薬剤師偏在指標と確保計画は、地域の課題を整理して施策を進めるための道具です。個人の職場選びでは、地域への貢献に加えて、教育、休憩、人員、在宅業務、給与条件を確認しましょう。制度や支援策は変わるため、応募前には自治体と職場の最新情報を確認してください。

職場を比較したい方へ

求人票だけで分からない人員体制や勤務条件は、見学時に質問を書き出して確認するのがおすすめです。ファルマスタッフを利用するときの職場選びの視点も参考になります。

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参考文献

  1. 厚生労働省「薬剤師確保対策」(薬剤師確保計画ガイドライン、偏在指標へのリンク)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/yakuzaishikakuho.html
  2. 厚生労働省「薬剤師確保計画ガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/001298148.pdf
  3. 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定項目の概要」(薬剤業務向上加算、p.69)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001329330.pdf

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