OTC類似薬の追加負担はいつから?対象薬・対象外と薬剤師の患者説明【2026年9月時点】

薬剤師が解説
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情報基準日:2026年9月12日
最終確認した一次資料:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」(2026年8月6日)

「この薬は市販薬と似ているので、今後は保険が使えないのですか?」

OTC類似薬の追加負担が話題になると、薬局でもこのような質問が増えると考えられます。

結論からいうと、対象薬がすべて保険適用外になる制度ではありません。医療用医薬品として処方を受ける仕組みは残しつつ、OTC医薬品との代替性が特に高い薬の薬剤費の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」が新設されます。

一方で、対象となる成分でも処方目的や患者背景によって別途負担を求めない場合があります。薬剤師には、薬の名前だけで判断せず、処方目的や対象外となる条件を確認したうえで説明する姿勢が求められます。

※本記事は薬剤師など医療従事者の学習を目的としています。制度の細部は今後の政令・告示・通知等で変更される可能性があります。実務では施行時点の最新資料、レセプト請求ルール、薬局システムの案内をご確認ください。

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30秒でわかる要点

  • 健康保険法等の改正法は2026年5月29日に成立し、6月5日に公布された
  • OTC医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品について「一部保険外療養」を創設する
  • 施行は2027年3月が想定されている
  • 対象は77成分、約1,100品目、別途負担は対象薬剤の薬剤費の4分の1とする案が示されている
  • OTC医薬品にない効能・効果で使う場合や、一定の患者・療養では別途負担を求めない
  • 2026年9月12日時点では、対象品目・患者負担・対象外の範囲などの最終的な告示・運用通知を確認する必要がある

OTC類似薬の追加負担で何が変わる?

「保険から完全に外れる」わけではない

今回創設されるのは「一部保険外療養」です。

対象となる医療用医薬品を使った場合、薬剤費の一部を保険給付の対象とせず、通常の一部負担金とは別に患者さんが支払う仕組みです。医師の診察や処方、薬局での調剤そのものがなくなるわけではありません。また、国の中間取りまとめは「一律にOTC医薬品を用いたセルフメディケーションを求めるものではない」としています。

制度の趣旨は、医療用医薬品の処方を受ける人とOTC医薬品を購入する人の公平性を確保し、保険料負担の上昇を抑えることです。

改定前・改定後・薬局対応の比較

項目 改定前 改定後の想定 薬局で準備したい対応
保険給付 薬剤費全体が保険給付の対象 対象薬剤の薬剤費の一部が保険給付外 対象成分・品目を最新一覧で確認
患者負担 年齢・所得等に応じた一部負担金 一部負担金+薬剤費の4分の1に相当する別途負担 金額の内訳を分けて説明
対象 通常の保険診療のルール OTCとの代替性が特に高い医療用医薬品 薬名だけでなく処方目的も確認
配慮 今回の制度による区分なし 一定の患者・療養は別途負担の対象外 対象外となった根拠・情報を確認

患者負担は「3割+25%=55%」ではない

ここは患者説明で誤解が起きやすいところです。

厚生労働省の資料では、別途負担は対象薬剤の薬剤費の4分の1とされています。残る部分に保険給付と通常の一部負担を適用する仕組みになるため、3割負担の患者で単純に「3割に25%を足して55%」と説明するのは適切ではありません。

概念上は、次のように分けて考えます。

  1. 薬剤費の4分の1:保険給付外の別途負担
  2. 残る薬剤費:保険給付の対象となり、通常の負担割合を適用
  3. 別途負担:消費税の扱いにも注意

厚生労働省が示した薬剤料のみの例では、3割負担の解熱鎮痛薬5日分は45円から72円、抗アレルギー薬30日分は540円から855円になるイメージです。ただし、実際の金額は薬価、処方量、日数、端数処理、消費税などで変わります。診察料や調剤基本料などの技術料も別にかかるため、OTC医薬品との総額を薬剤料だけで単純比較しないことが大切です。

対象となる薬は?

制度設計では、OTC医薬品と「成分・投与経路が同一」で「一日最大用量が異ならない」医療用医薬品77成分、約1,100品目が対象候補とされています。

主な症状・領域は次のとおりです。

  • 鼻炎(内服薬・点鼻薬)
  • 胃痛・胸やけ
  • 便秘
  • 解熱・鎮痛
  • 風邪症状
  • 腰痛・肩こりに使う外用薬
  • みずむし
  • 殺菌・消毒
  • 口内炎
  • 皮膚のかゆみ・乾燥

ただし、「同じ成分が一覧にある=どの処方目的でも別途負担」とは限りません。医療用医薬品とOTC医薬品で効能・効果が対応しない場合は、別途負担を求めない整理が示されています。

例えばフェキソフェナジンは、OTC医薬品の効能が鼻のアレルギー症状の緩和である一方、医療用医薬品には蕁麻疹や皮膚疾患に伴うそう痒などの効能もあります。中間取りまとめでは、後者の目的で使う場合は別途負担の対象外と整理されています。

点鼻薬の剤形や使い分けも確認したい方は、点鼻薬の種類と使い分け|ステロイド・抗ヒスタミン・血管収縮薬の違いも参考にしてください。

別途負担の対象外として整理された主なケース

1.OTC医薬品では対応できない効能・効果

同じ成分でも、医療用医薬品とOTC医薬品で治療目的が明らかに異なる場合は対象外です。処方箋に記載された薬剤名だけでなく、疾患名や処方目的の確認が重要になります。

2.がん治療に関連する使用

がん治療中に、がんや治療に関連して生じた症状・副作用へ対象薬を使用する場合は対象外と整理されています。例として、抗がん薬による便秘・口内炎・皮膚障害への支持療法などが挙げられます。

ただし、がん治療中であっても、花粉症やみずむしなど、がんや治療との関連が薄い一般的な症状への使用は原則として対象です。「がん患者だからすべて対象外」とは説明できません。

3.指定難病・国の公費負担医療に関連する使用

指定難病患者では、指定難病とそれに付随して発生する傷病に対象薬を使用する場合、別途負担の対象外と整理されています。国の公費負担医療も、対象となる療養に関連して使用する場合は同様です。

4.入院中・退院時の処方

入院中に対象薬が処方された場合は、退院時処方を含めて対象外と整理されています。

5.処置・手術などに伴う14日分までの処方

生検や穿刺などの侵襲を伴う検査、処置、手術に伴って新たに処方される薬は、14日分まで対象外とする整理です。処置前から同一・類似薬が使われていた場合などは、単純に当てはめられないため注意が必要です。

6.医師が長期使用を医療上必要と判断する場合

内服薬では、年間処方日数がおおむね50週であることが目安とされています。365日連続の使用を形式的に求めるのではなく、年間を通じて症状が持続し、医師の管理下で治療継続が必要かを確認します。

一方、外用薬は処方日数だけで通年使用を判断しにくいため、疾患、使用目的、ガイドライン上の必要性などから個別に整理されています。湿布や皮膚保湿剤については、一定の重症患者を対象とする2028年度末までの経過措置も示されています。

7.妊娠・授乳中など、OTC医薬品を服用しないこととされている場合

OTC医薬品の添付文書で妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳婦に「服用しないこと」とされ、医療用医薬品側にも妊娠・授乳に関する注意喚起がある薬剤は、医師が必要性とリスクを判断して使うため対象外と整理されています。

ただし、年齢、基礎疾患、併用薬などを理由にOTC医薬品で「服用しないこと」とされているだけでは、自動的に別途負担の対象外になるとは限りません。

こども・低所得者の扱いは?

改正法の説明資料では、こども、低所得者などにも配慮するとされています。ただし、2026年8月6日の中間取りまとめは、こどもと低所得者の具体的な年齢・所得基準や確認方法を最終決定した資料ではありません。

地方自治体が独自に行う子ども医療費助成などは制度内容に違いがあります。薬局では「医療証があるから必ず追加負担はゼロ」と先に断定せず、国の最終ルールと自治体の案内を確認する必要があります。

薬剤師が処方箋を受けたら確認したい順番

制度開始前の準備として、次の流れを薬局内で共有しておくと混乱を減らせます。

処方監査POINT

  1. 対象成分・対象品目に該当するか
  2. 処方目的とOTC医薬品の効能・効果が対応するか
  3. がん、指定難病、公費負担医療、入院・退院時、処置後などに該当するか
  4. 長期使用や妊娠・授乳に関する対象外条件が示されているか
  5. 処方箋や連携情報に必要な記載があるか

患者確認POINT

  • 「いつから、何の症状に使っていますか」
  • 「年間を通じて使っていますか。季節だけですか」
  • 「今回、検査・処置・手術後に新しく出た薬ですか」
  • 「現在の治療に伴う症状へ使う薬と説明されていますか」
  • 妊娠・授乳に関する確認が必要な薬では、該当の可能性がないか

患者さんの回答だけで対象外を確定するのではなく、処方箋、診療情報、お薬手帳、薬剤情報などと照合し、必要に応じて処方医や保険者へ確認します。

疑義照会・情報照会POINT

問い合わせる際は「対象薬ですか」だけでなく、判断に必要な情報を短く伝えます。

OTC類似薬の一部保険外療養に関する確認です。〇〇が処方されていますが、処方目的は△△でよいでしょうか。別途負担の対象外となる療養に該当する場合、必要な記載方法もご教示ください。

実際の記載事項や照会方法は、今後示される請求・運用ルールに合わせて薬局内手順を更新しましょう。

患者さんへの説明例

制度開始前に質問された場合

対象となる処方薬では、2027年3月から薬剤費の一部を別にご負担いただく制度が予定されています。ただし、すべての薬や使い方が対象になるわけではなく、病気や治療目的によって対象外になる場合もあります。現時点では細かな運用が検討中なので、開始前に改めて最新情報をご案内します。

別途負担が発生する場合

この薬は、市販薬でも代替できる可能性が高い薬として制度の対象になっています。保険がまったく使えなくなるわけではありませんが、薬剤費の一部が保険給付外となるため、通常の窓口負担とは別の料金が加わります。今回の追加額と内訳はこちらです。

患者さんが「市販薬に変えた方がよい?」と尋ねた場合

金額だけでなく、処方された目的、用量、使用期間、ほかの薬との飲み合わせも確認して決める必要があります。自己判断で処方薬を中止せず、まず今回の治療目的を確認しましょう。市販薬で対応できる症状かは、必要に応じて医師や薬剤師へご相談ください。

説明で避けたい言い方

  • 「この薬は保険が使えなくなりました」
  • 「市販薬とまったく同じです」
  • 「3割負担に25%がそのまま上乗せされます」
  • 「長く飲んでいる人は全員対象外です」
  • 「がん・難病ならどの薬も追加負担はありません」

制度の仕組みと、今回の処方がどの扱いになるかを分けて説明すると、患者さんの納得につながりやすくなります。

薬局で今から準備したいチェックリスト

よくある質問

OTC類似薬はすべて保険適用外になりますか?

いいえ。対象薬の薬剤費の一部を保険給付外とする仕組みです。処方目的や患者・療養の条件によって、別途負担を求めない場合もあります。

対象は77成分で確定ですか?

77成分、約1,100品目を対象とする方向が示されていますが、対象範囲や特別料金は告示事項です。実務では施行時点の正式な対象品目一覧を確認してください。

季節性花粉症の抗アレルギー薬は対象ですか?

季節性の症状に対する使用は、原則として別途負担の対象と想定されています。一方、年間を通じて症状が続き、医師の管理下で長期使用が必要と判断される場合は、対象外となる可能性があります。

OTC医薬品を使えない患者は全員対象外ですか?

全員ではありません。OTC添付文書の「服用しないこと」の理由によって扱いが異なります。中間取りまとめでは、妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳婦への一定の薬剤は対象外とする一方、年齢、基礎疾患、併用薬などを理由とする場合は、それだけで対象外とはしない整理です。

まとめ|薬名より「処方目的」と「対象外条件」を確認する

OTC類似薬の見直しでは、対象薬の薬剤費の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」が創設されます。

薬剤師が押さえたいのは、次の4点です。

  • 対象薬でも保険から完全に外れるわけではない
  • 患者負担は「現在の負担割合+25%」という単純計算ではない
  • 同じ薬でも処方目的や患者背景により対象外となる場合がある
  • 2026年9月時点では最終的な告示・通知を確認し続ける必要がある

薬局では、対象品目を覚えるだけでなく、処方目的、長期使用、治療との関連、処置後の処方などを確認する手順を整えておくことが大切です。

OTC医薬品を選ぶ際の費用と税制も整理したい方は、セルフメディケーション税制とは?制度の見直しとOTC医薬品の買い方もあわせてご覧ください。

制度改定への対応や患者説明を含め、今の職場での働き方そのものに迷っている方は、薬剤師が転職を考えたときに読む記事まとめ|辞めたい・つらい・職場選びで後悔しないためにも参考にしてください。

参考文献

  1. 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」(2026年5月29日更新)
    医療保険制度改正法が成立しました
  2. 厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」(2026年6月5日公布)
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713111.pdf
  3. 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」(2026年8月6日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/12403550/001734914.pdf
  4. 厚生労働省「中間とりまとめ(概要)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/12403550/001734915.pdf
  5. 厚生労働省「OTC類似薬の薬剤給付の見直し」
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001702355.pdf

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