1. はじめに
薬剤師の業務は、調剤、服薬指導、在庫管理、事務作業など多岐にわたります。特に調剤ミスの防止や業務の正確性が求められるため、業務効率化を図ることは重要です。しかし、忙しい現場では「時間が足りない」「ミスを減らしたい」「もっとスムーズに仕事をしたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では薬剤師の業務効率化に役立つツールをカテゴリ別に紹介します。ツールをうまく活用すれば、調剤ミスを減らし、業務の負担を軽減しながら患者対応の質を向上させることができます。ぜひ参考にしてください。
2. 調剤業務の効率化ツール

2.1 電子薬歴システム
現在では、電子薬歴を導入している薬局の方が多数派でしょう。電子薬歴システムは、従来の紙薬歴に代わり、患者情報や服薬指導の記録をデジタル管理できるツールです。以下のようなメリットがあります。
- 手書きの手間が省ける:入力の手間が減り、記録の抜け漏れを防げる
- 検索性の向上:過去の服薬履歴や指導内容を素早く参照できる
- データの分析が可能:患者の服薬状況を分析し、適切な指導につなげられる
ただし、電子薬歴システムにはさまざまな種類があり、薬局ごとに適したものを選ぶことが重要です。導入する際には以下のポイントを比較検討しましょう。
- 操作のしやすさ(直感的に使えるか)
- 音声入力対応の有無(素早く記録できるか)
- クラウド型かオンプレミス型か(リモートアクセスできるか)
- コスト面(初期費用やランニングコスト)
代表的な電子薬歴システムとして、Medicom(メディコム)や Melphin(メルフィン)
などがあります。導入前に試用期間を活用し、自局の業務に合うか確認することをおすすめします。
2.2 調剤過誤防止システム
調剤ミスを防ぐために、バーコード・QRコードを活用したピッキング支援システムや自動監査システムが導入されています。これにより、薬の取り違えを防ぎ、正確な調剤を行うことができます。
- ピッキング支援システム:薬品のバーコードをスキャンし、正しい薬剤か確認
- 散剤監査システム:調剤された散剤を自動で検査し、異物混入や分量ミスを検出
2.3 調剤ロボット・分包機
人手不足の問題を解決するために、自動分包機や調剤ロボットを導入する薬局が増えています。これにより、分包作業の負担を軽減し、作業時間を大幅に短縮できます。
3. 服薬指導の効率化ツール

3.1 オンライン服薬指導ツール
新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン服薬指導が普及しています。これにより、患者が自宅から服薬指導を受けられるため、利便性が向上します。
代表的なツール:
- Pharms:オンライン服薬指導に特化したアプリ
- Curon:ビデオ通話対応で電子薬歴と連携可能
3.2 服薬指導支援アプリ
患者の服薬アドヒアランス向上を目的としたアプリも活用できます。例えば、お薬手帳アプリ(e薬Link、おくすり手帳Link)を使えば、患者が服薬履歴を簡単に記録でき、薬剤師も適切な指導が可能になります。
4. 在庫管理の効率化ツール

4.1 医薬品在庫管理システム
在庫管理の効率化は、薬局経営にとって非常に重要です。在庫過多によるロスや欠品による対応遅れを防ぐため、在庫管理システムを導入するのも一つの方法です。システムが発注漏れを防ぐので、在庫管理の手間が減ります。
4.2 自動発注システム
AIを活用した自動発注システムは、過去の発注データをもとに最適な発注を行うため、欠品防止やコスト削減につながります。
5. 薬剤師の働き方を改善するツール

5.1 タスク管理・スケジュール管理ツール
業務の効率化には、タスク管理やスケジュール管理ツールも役立ちます。下記のアプリをツールを使うことで情報共有の手間が減り、業務効率改善に役立ちます。
- Trello、Notion:業務の優先順位を整理し、チームでの情報共有にも活用
- Googleカレンダー:シフト管理やリマインド機能が充実
5.2 コミュニケーションツール
薬局内での情報共有をスムーズにするため、ビジネス向けのチャットツールを導入すると便利です。
- Slack、Chatwork:スタッフ間の業務連絡を効率化
- LINE WORKS:薬局向けに最適化されたビジネスチャット
6. 業務効率化ツールを導入する際のポイント

業務効率化ツールを導入する際は、「ただ導入するだけでは業務の負担が減らない」ことを理解することが大切です。ツールが業務に適していなかったり、スタッフが使いこなせなかったりすると、逆に手間が増えてしまうこともあります。スムーズに導入し、効果を最大限に発揮するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
6.1 導入の目的を明確にする
まず、「何のために業務効率化ツールを導入するのか」を明確にしましょう。
例えば、
- 調剤ミスを防ぎたい → ピッキング支援システムや調剤過誤防止システムを導入
- 記録業務の負担を減らしたい → 電子薬歴システムを活用し、音声入力対応のものを選ぶ
- 在庫管理を効率化したい → クラウド型の在庫管理システムや自動発注システムを導入
目的をはっきりさせることで、本当に必要なツールを選ぶことができ、無駄な投資を避けられます。
6.2 コストとリターンを考慮する
ツール導入には、初期費用・ランニングコスト・教育コストが発生します。
費用が高すぎると薬局経営の負担になりますし、逆にコストを抑えすぎると必要な機能が備わっていない可能性があります。
- 初期費用と月額料金はどのくらいか?
- ランニングコスト(保守費用、更新費用など)はかかるか?
- 導入によってどれくらい業務効率が上がるのか?
これらを事前に試算し、「導入コストに見合った効果が期待できるか」を慎重に判断しましょう。
6.3 スタッフのリテラシーに合わせる
どんなに優れたツールでも、使いこなせなければ意味がありません。
導入を決める際には、現場のスタッフがスムーズに操作できるかを確認することが重要です。
例えば、
- パソコンが苦手なスタッフが多い薬局 → できるだけシンプルで直感的なUIのものを選ぶ
- 高機能なツールを導入したい → 導入後の研修体制が整っているか確認する
また、実際に導入する際は、マニュアルの準備や研修の実施を行い、スタッフ全員が適切に使える環境を整えましょう。
6.4 試用期間を活用する
多くの業務効率化ツールには、無料トライアル期間やデモ版が用意されています。
いきなり本格導入するのではなく、まずは試してみることが重要です。
試用期間中に以下のポイントを確認しましょう。
- 実際の業務に合っているか?
- 操作性はどうか?
- 他のシステムとの連携はスムーズか?
試用の結果、もし現場に合わないと感じたら、別のツールを検討するのも一つの方法です。
7. まとめ

薬剤師の業務負担を軽減し、患者対応の質を向上させるために、業務効率化ツールの導入は非常に有効です。
特に、電子薬歴システムは各社ごとに特徴が異なるため、操作性、機能、コストなどを比較検討し、自分の薬局に合ったものを選びましょう。
適切なツールを導入することで、薬剤師としての本来の業務に集中し、より良い医療サービスを提供できる環境を整えていきましょう!
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