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小さな心臓とお薬の話 | 薬剤師をいろいろ考えてみるブログ

小さな心臓とお薬の話

薬剤師が解説

—心室中隔欠損症(VSD)の赤ちゃんにフロセミド/スピロノラクトンは大丈夫?—


1. VSDってどんな病気?

赤ちゃんの心臓は「4つの部屋」でできています。そのうち、下の2つの部屋(右心室と左心室)の間にある壁に小さな穴が開いている状態がVSD(心室中隔欠損症)です。

  • 穴が小さい場合 → 特に症状はなく、自然にふさがることもあります。
  • 穴が大きい場合 → 血液が余分に肺に流れ込み、息が速い・ミルクを飲むと疲れる・体重が増えにくいなどの症状が出ます。

つまり、VSDは“すぐに命にかかわる”病気ではありませんが、赤ちゃんの呼吸や成長に負担をかけてしまうことがあるのです。



2. なぜ赤ちゃんに利尿薬を使うの?

心臓の穴が大きいと、肺にたくさん血液が流れてしまいます。その結果、肺に水分がたまり、息苦しさや疲れやすさが出やすくなります。

ここで使うのが「利尿薬」です。利尿薬はおしっこを増やして体の余分な水分を外に出す薬です。すると、肺や心臓の負担が軽くなり、赤ちゃんが呼吸しやすく、ミルクを飲みやすい状態になります。


フロセミドとスピロノラクトンの違い

  • フロセミド
    とてもよく効く利尿薬です。余分な水分を素早く外に出し、肺や心臓の負担を和らげます。
  • スピロノラクトン
    フロセミドを使うと出やすくなる「カリウム」という大事なミネラルを守りながら、さらに水分を減らす役割を持っています。

つまり、2種類を一緒に使うことで効果を高めつつ、安全に続けやすくしています



3. 「生後まもなくから薬って大丈夫?」という心配について

「こんなに小さいのに、薬を飲んで大丈夫なの?」と感じるのは自然なことです。実はこの2つの薬は、小児循環器の分野で長年にわたって使われている標準的な治療法です。

ただし、飲ませたら終わりではなく、必ず医師と薬剤師が赤ちゃんを見守りながら調整していきます

チェックされることは例えば…

  • 体重の増え方
  • ミルクの飲み具合
  • おしっこの回数や量
  • 呼吸の速さや苦しさ
  • 血液検査(電解質や腎臓の働き)

こうした見守りをしながら必要な期間だけ続けていくので、安心して使えます。



4. 家で気づける副作用のサイン

副作用はまれですが、もし出た場合に早く気づけるよう、「家庭でチェックできるサイン」を知っておくことは安心につながります。

  • 脱水のサイン
    おしっこが極端に減る、口の中が乾いている、ぐったりしている
  • 電解質のバランスの乱れ
    いつもより元気がなくぼんやりしている、吐きやすい
  • すぐに相談すべきとき
    呼吸がいつもより速い/胸がペコペコへこむ/唇が紫っぽい/発熱が続いてミルクを飲まない

もし不安を感じたら、「薬の量が合っているか確認したいです」と気軽に主治医や薬剤師に連絡してOKです。



5. 家での飲ませ方のコツ

  • 正確に量ることが第一
    必ずシリンジや専用カップで。台所スプーンでは誤差が出やすく危険です。
  • 少量に混ぜる
    母乳やミルクの少量に混ぜるのがおすすめ。哺乳瓶全量に混ぜると、飲み残し=薬不足につながります。
  • 生活リズムに合わせる
    寝る直前だと夜間におしっこが増えて大変なので、日中に合わせるのも一案です。
  • 吐いてしまったら
    すぐに飲ませ直すかは病院ごとにルールが違います。必ず診察時に「吐いたときはどうすればいいですか?」と聞いて、メモに残しておきましょう。



6. よくある質問(Q&A)

Q. 薬を飲んでいるけど予防接種はできる?
→ 基本的には通常どおり進められます。ただし体調や心臓の状態で判断が変わるため、主治医に予定を共有しましょう。

Q. 入浴や外出はしていい?
→ 元気ならOK。無理せず、呼吸や疲れやすさをよく見て判断してください。

Q. 成長に影響は?
→ 利尿薬はむしろ成長を助けるための薬です。呼吸が楽になってミルクがしっかり飲めるようになると、体重や発達がついてきます。

Q. いつまで続けるの?
→ 自然に閉じるか、手術で治すまで。やめるときは医師が少しずつ減らすので、自己判断での中止は絶対にやめましょう。



7. ママ・パパの気持ちに寄り添って

「赤ちゃんがこんなに小さいのに薬を飲むなんて…」と不安になるのは当然です。でも、多くのご家庭で同じようにお薬を続け、赤ちゃんは少しずつ楽になって元気に育っています。

  • 体重が少しずつ増えてきた
  • ミルクを最後まで飲めるようになった
  • 息苦しさが減った

こうした変化が見えてくると、「お薬のおかげで元気に育ってるんだ」と実感できるようになります。



まとめ

  • VSDは赤ちゃんの心臓に小さな穴がある病気ですが、ほとんどの場合は治療や成長で乗り越えられます。
  • フロセミドとスピロノラクトンは、赤ちゃんでも安心して使われている標準治療です。
  • お薬は「穴をふさぐ」ものではありませんが、呼吸を楽にし、ミルクを飲みやすくし、成長を支える大切な存在です。
  • 不安なときは、「飲ませ方や量が合っているか」を遠慮なく医師・薬剤師に確認してください。



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