薬剤師の働き方が変わる!AIで薬局業務を効率化する最新手法と導入ステップ

薬剤師の働き方

「毎日薬歴に追われて、患者さんと話す時間がない…」
「人手不足で発注や監査の精度が不安…」

こうした悩みは、多くの薬局で日常的に起きています。人手不足や業務の複雑化が進む中、薬剤師の仕事を支えるための新しいパートナーとして、AI(人工知能)が注目されています。この記事では、2025年時点で実際に使われているAIの導入事例や技術のトレンド、導入時のポイントについて、基礎知識がなくても理解できるよう丁寧に解説します。



調剤・薬歴・服薬指導…AIでどう変わる?

AIは、調剤・薬歴・服薬指導といった薬局の日常業務の効率化に大きく貢献しています。以下に、代表的な活用例を紹介します。

1. 薬歴・帳票業務|生成AIで記録時間を大幅に短縮

出典:株式会社OX3 プレスリリース 2025年5月 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000162772.html

ソラミチシステム・日本調剤共同リリース 2024年11月 https://site.solamichi.com/news/20241113

薬歴(患者ごとの服薬記録)の作成には、1件あたり3〜5分かかることが一般的で、これが業務の大きな負担になっています。最近では、ChatGPTのような生成AIを活用してこの記録作業を効率化する取り組みが広がっています。

  • DOZO(OX3)は、チェック項目とキーワード入力だけでSOAP形式の薬歴を自動で作成できるAIツールです。トライアル導入では「残業が減った」「記録が早くなった」との声が上がっています。
  • corte(日本調剤 × ソラミチシステム)は、薬剤師と患者の会話を音声で記録し、その内容からAIが自動的に薬歴を作成します。2024年に50店舗で先行導入され、2025年には全国763店舗に拡大されました。

これらのツールを使うことで、薬歴記載の時間を最大60%削減できたという実例もあります。


2. 在庫管理・発注|AIが自動で最適な発注量を提案

出典:株式会社カケハシ Musubi公式サイト 2025年5月 https://musubi.kakehashi.life/ai-zaiko

薬局では、薬の在庫を切らさないように管理しながらも、余分に仕入れて無駄な在庫を抱えないようにする必要があります。そこで登場したのが、在庫管理AIです。

  • Musubi AI在庫管理は、処方内容や来局傾向をもとに、AIが「どの薬を、どれだけ発注すべきか」を自動で提案してくれるシステムです。
  • このシステムを使えば、毎日の発注作業を”たった3クリック”で完了できます。

導入店舗では、発注にかかる時間が60分から10分に短縮されたり、過剰在庫による損失が大幅に減ったという報告もあります。


3. 服薬指導・問い合わせ対応|24時間対応するAIチャットボット

出典:ソラミチシステム公式サイト 2024年11月

ソラミチシステムとcorte社が共同開発した、AI薬歴作成支援サービス「corte」 日本調剤の50店舗への導入決定! ~対物業務を効率化し、さらなる医療の質と服薬指導の向上を目指して、3社が協力~
株式会社ソラミチシステム(以下、「当社」)が、株式会社corte (以下、「corte社」)と共同開発した、AI薬歴作成...

服薬指導は患者さんの理解と安心につながる重要な業務です。しかし、営業時間外や言語の壁により対応が難しい場面もあります。

  • AIチャットボットは、患者さんの質問に自動で答えるツールです。たとえば「薬を飲み忘れたときは?」「副作用が出たときは?」といった質問に、正確な情報を返してくれます。
  • 多言語に対応したチャットボットであれば、外国人患者のサポートにも有効です。

薬剤師が対応できない時間帯でも、患者さんが安心できる環境を整えることができます。



2025年の注目AIトレンド5選|薬剤師が押さえておきたい最新動向

トレンド内容
1. 生成AI × 医療テンプレート決まった形式の薬歴や報告書を自動作成する技術が進化
2. マルチモーダルAI(画像×文章)錠剤の画像と説明文を組み合わせて誤薬を防ぐ技術
3. 高精度需要予測処方傾向・季節・祝日などを分析して適切な在庫を提案
4. リアルワールドデータ活用日々の診療データをAIに学習させて業務支援につなげる動き
5. SaMD対応と法的整備AIを使ったシステムにも医療機器並みの安全管理が求められる時代に



AI導入を成功させる6つのステップ|失敗しない薬局DXの進め方

  1. 課題を見える化する:たとえば「薬歴残業が月40時間」「発注に毎日1時間」など、数字で把握する
  2. 小規模から試す(PoC):いきなり全店舗ではなく、1店舗・1業務・1ヶ月から試す
  3. ガバナンス体制の構築:AIの出力内容をチェックする仕組みを作る(誤りをそのまま記録しない)
  4. 効果の測定と見直し:業務時間、エラー件数、患者満足度などをKPIとして定期的に評価
  5. スタッフへの教育と共有:マニュアル、操作方法、プロンプト例を事前に用意して現場の不安を解消
  6. 良かった部分を全体展開へ:効果があった業務を他店舗や他業務にも広げる



今すぐ始められる!薬剤師のための“小さな一歩”

  • 薬歴AIツール(corteやDOZO)の無料トライアルを試す
  • 在庫データ(CSV)を使ってMusubiのAI分析を体験する
  • スマートフォンで錠剤画像を撮り、画像解析AIを試してみる
  • 薬局DX関連のセミナーや勉強会に参加して、他社事例を学ぶ



キャリアにも活かせる!AI時代の薬剤師の働き方を考える

AIが導入されることで、薬剤師の働き方にも大きな変化が訪れようとしています。

  • 機械にできることはAIに任せ、人間にしかできない「対話」や「提案」に集中する
  • IT・AIに強い薬剤師は、今後ますますニーズが高まる

もし今の職場で「AIを活用した働き方が難しい」「新しいことに挑戦したい」と感じたら、AI活用に積極的な薬局や企業へ転職を検討するのも一つの選択肢です。

最近では、薬局専門の転職エージェントがDX・AI分野に強い求人を紹介してくれるケースも増えています。まずは相談して、自分のキャリアの幅を広げる一歩を踏み出してみてください。



まとめ|AIは「患者と向き合う時間」を取り戻すためのツール

AIは、薬剤師の仕事を奪うものではありません。むしろ、ルーティン業務の時間を短縮することで、患者さんとしっかり向き合う時間を生み出すための道具です。

  • 現場の負担を軽減したい方
  • 患者対応の質を高めたい方
  • 最新技術に興味がある薬剤師

そんな皆さんにとって、AIの導入は大きな助けになります。まずは小さな導入から始め、数値で効果を確認しながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。


コメント

タイトルとURLをコピーしました